コアコンピタンスとは|他社が真似できない、選ばれる理由

コアコンピタンスとは、他社が真似したくても真似できない強みで、顧客が高い対価を払ってでも自社を選ぶ理由になる能力のことです。1990年代に経営戦略の概念として広まりました。

強みと言えるかは、3つの観点で確かめます。顧客に価値を提供する能力であるか。競合他社が真似できない能力であるか。複数の市場に応用できる能力であるか、の3つです。真似しやすい資産や技術は、すぐに一般化して価格競争に陥ります。特定の商品や市場でしか使えない力は、市場が変わると強みでなくなります。中小企業基盤整備機構(中小機構)のJ-Net21にも、競合より優れた点を明確にして、顧客が自社を選ぶ理由を説明する「優位性」の考え方が載っています。

強みと言えるかを確かめる3つの観点
観点確かめること
顧客に価値を提供する競合にない資源を持っていても、顧客への価値につながっているか
競合が真似できない資産・技術・組織・情報・知識が、簡単に真似されないか
複数の市場に応用できる特定の商品や市場でしか使えない力ではないか

コアコンピタンスの5つの構成要素

強みの性質は、5つの要素で整理できます。要素ごとに、強い(追随されにくい)例と、追随されやすい例があります。例は説明のための一般的なものです。

コアコンピタンスの5つの構成要素
要素意味追随されにくい例追随されやすい例
模倣困難性時間・コスト・ノウハウの壁で、再現しにくい長年受け継がれた製法、改善を続ける文化認証の取得だけで築ける品質管理
移動困難性引き抜きや買収でも、組織から切り離せない全社員のチームワーク、地域での長年の信頼特定の個人のセンス
希少性保有する企業が少なく、代わりが見つけにくい特定の業界に特化した専門知識どの会社でも用意できる24時間対応
耐久性時間や技術の変化で、陳腐化しにくい顧客との長期の信頼関係、ブランド力流行のマーケティング手法
代替困難性顧客の要望を満たす他の手段が少ないその会社にしかない特許技術、伝統の技他社でも提供できる導入支援

分析しても、強みが見つからない5つの理由

SWOT分析などで自社を分析しても、強みが見つからないことがあります。分析が悪いのではなく、強みの性質と分析の方法が合っていないためです。

たとえば、ある地域のIT保守会社を考えます(仮の例)。大手の参入で受注が減り、外部のコンサルタントに分析を頼みました。結果は、技術も納期も平均的で、差別化できる点はないというものでした。そこで新しい技術の習得に力を入れましたが、長年の取引先から解約を告げられます。理由は、「毎週決まった曜日に来て、現場の不具合をその場で直してくれた。それに信頼して料金を払っていた」というものでした。分析のアンケートは、情報システム部門に向けたもので、現場の声を拾えていなかったのです。

  • 強みの本質は数値にできないことが多い(信頼関係の深さ、職人の勘、社員の温かさなど)
  • 平均値に埋もれる(平均の満足度が普通でも、特定の顧客には強く信頼されていることがある)
  • 質問の仕方が強みを隠す(点数評価では遠慮しても、「なくなったら何に困るか」と聞けば本音が出る)
  • 測定できるものしか見ない(売上や客数は測れても、常連との会話や現場での気配りは指標にならない)
  • 分析する人と現場がずれている(分析する人は強みを知らず、現場は当たり前と思って報告しない)

強みがないのか、気づいていないのか、言語化できないのか

「うちには強みがない」と感じるときは、次の3つのどれかを見分けます。本当に強みがない場合は、これから育てます。強みはあるが気づいていない場合は、顧客に聞き、外部の目を入れます。強みはあるが言語化できない場合は、要素に分けて、見えるようにします。

どの場合も、顧客に聞く次の4つの質問が手がかりになります。

  • なぜ顧客は、競合より高くても当社を選ぶのか
  • もし当社がなくなったら、顧客は何に一番困るか
  • 競合の社長が最もうらやましがる当社の強みは何か
  • 新入社員が10年かけても身につけられない技術や知識は何か