競争力の源泉とは|儲かる理由を客観的に見る

競争力の源泉とは、自社がなぜ儲かっているのか、あるいは儲かっていないのかを説明する理由のことです。売上が伸びている会社でも、その理由が自社の努力によるものか、市場全体の追い風によるものかで、今後の見通しは変わります。

ここでは、競争力の源泉を5つの段階で整理します。経営学者の楠木建氏の競争戦略に関する著作を参考に、whymeが整理した枠組みで、原典の枠組みそのものではありません。上の段階ほど、利益が長く続きやすいと考えます。中小企業基盤整備機構(中小機構)のJ-Net21にも、競合より優れた点を明確にして、顧客が自社を選ぶ理由を説明する「優位性」の考え方が載っています。

競争力の源泉の5段階
段階呼び方どんな競争力か
Lv.1 外部環境追い風市場の成長など、業界全体に吹く風の恩恵を受ける力
Lv.2 事業立地先行性どの市場で戦うか、いつ参入するかの選択による力
Lv.3 ポジショニング独自性競合との違いをつくり、狙う顧客を絞る力
Lv.4 戦略ストーリー一貫性・好循環個々の施策がつながり、互いを強め合う力
Lv.5 カルチャー化模倣困難性戦略が組織の文化になり、行動の原理になる力

Lv.1 外部環境|追い風は、いつまでも続かない

追い風は、市場の成長、規制の緩和、技術の革新など、業界全体に吹く風のことです。自社の努力と関係なく恩恵が得られ、同じ業界の会社が同じように利益を享受します。

注意したいのは、追い風はいつまでも続かないことです。風が止んだときに、自社の実力が問われます。外部環境に頼った成長は、風向きが変わると、一気に業績が悪化するおそれがあります。売上が伸びている時期ほど、「同業の会社も同じように伸びているか」を確かめます。

Lv.2 事業立地|場所取りの優位は、後から追いつかれる

事業立地は、どの事業領域・市場で戦うかを選ぶ力です。参入のタイミングと撤退のタイミングの見極めが鍵で、先に入った会社の利益や、ニッチな市場での独占が見込めます。

ただ、良い場所には、後から競合が参入してきます。参入の障壁をつくらなければ、資本力のある大手に市場を奪われる可能性があります。先に入ったことを、次の段階の独自性につなげる必要があります。

Lv.3 ポジショニング|違いをつくり、やらないことを決める

ポジショニングは、競合との違いを明確にし、狙う顧客を絞って、独自の価値を提供する力です。「何をやらないか」を決める選択も含みます。

ただ、ポジショニングは真似されやすい面があります。他社が真似をしても、全体を真似するのは難しい仕組みまで進めることが、次の段階の課題になります。

Lv.4・Lv.5 ストーリーと文化|真似しにくい競争力

戦略ストーリーは、個々の施策がつながって、互いを強め合う仕組みのことです。部分最適ではなく、全体の最適を設計します。真似をしようとすると全体を真似なければならないため、模倣が難しくなります。優れたストーリーには、部分だけを見ると非合理に見える一手が含まれていることがあります。全体で見ると、その一手が仕組みを成り立たせています。

カルチャー化は、戦略が組織の文化として定着し、社員の行動の原理になっている状態です。文章にされていない暗黙知として受け継がれ、他社が最も真似しにくい競争力になります。ただ、一朝一夕にはできず、長い時間をかけて育てるものです。

自社の競争力の源泉を点検する

自社の利益を、5つの段階に当てはめて見直します。段階の上がり方が一つのゴールというわけではなく、足りない段階を知るための点検です。

  • Lv.1:同じ業界の会社も、同じように業績が伸びている(落ちている)か
  • Lv.2:なぜ今の市場を選んだか。競合が追ってきたとき、守るものがあるか
  • Lv.3:顧客が「他社ではなく自社」を選ぶ理由を、一言で言えるか
  • Lv.4:個々の施策が、互いを強め合う形でつながっているか
  • Lv.5:戦略が、社員の判断や行動の基準になっているか