付加価値生産性とは|1時間あたりの稼ぎを見る

付加価値生産性の計算方法を理解するために、まず言葉を整理します。付加価値額は、自社が事業で新しく生み出した価値の金額です。付加価値生産性は、これを働いた時間で割って、1時間あたりにどれだけの付加価値を生んだかを見る指標です。

付加価値額の求め方には、売上高から外部購入費用(材料費・外注費など)を引く方法(控除法)と、営業利益、人件費、賃借料、租税公課、減価償却費などを足し合わせる方法(加算法)があります。中小企業白書では、後者の考え方で付加価値額を定義し、労働生産性を「付加価値額÷従業員数」で表しています。この記事では、工程ごとの比較がしやすい、売上高から外部購入費用を引く簡易な方法を使います。

工程別に分析する5ステップ

工程ごとに付加価値生産性を比べると、儲けを生んでいる工程と、時間をかけているのに稼げていない工程が分かります。次の5ステップで進めます。

付加価値生産性の分析の5ステップ
ステップやること
1 付加価値額を出す売上高から外部購入費用(材料費・外注費など)を引く
2 時間配分を測る1週間ほどのサンプル調査で、工程ごとの作業時間の比率を把握する
3 全社の基準値を出す付加価値額÷総労働時間で、全社の基準となる生産性(円/時間)を出す
4 工程別の値を出す各工程の付加価値への貢献額÷投入時間で、工程別の生産性を出す
5 改善策を決める基準値を下回る工程について、効率化や外注化を検討する

計算の例(仮の例)

ある会社の1年間を、次のように仮定します。売上高1億2,000万円、外部購入費用7,000万円で、付加価値額は5,000万円です。10人が年間2,000時間働き、総労働時間は20,000時間です。全社の付加価値生産性は、5,000万円÷20,000時間で、1時間あたり2,500円になります。

工程別には、次のようになりました。工程ごとの付加価値の貢献額は、仮の按分によるものです。

工程別の付加価値生産性(仮の例)
工程時間(割合)付加価値の貢献1時間あたり全社平均との差
購買・仕入2,000時間(10%)400万円2,000円−500円
製造・開発7,000時間(35%)1,050万円1,500円−1,000円
出荷・物流3,000時間(15%)600万円2,000円−500円
営業・販売5,000時間(25%)2,000万円4,000円+1,500円
サービス3,000時間(15%)950万円約3,167円+667円

結果の読み方と、判断するときの注意

この例では、製造・開発が全体の35%の時間を使いながら、1時間あたり1,500円で、全社平均の6割にとどまります。営業・販売とサービスは、少ない時間で高い付加価値を生んでいます。ここから、製造の一部を外に任せ、営業やサービスに時間を回す案が考えられます。

ただし、結果は慎重に読みます。製造を外注すると、外注費が外部購入費用に加わり、付加価値額そのものが減ります。営業の人員を増やしても、増やした人が同じ生産性を出せるとは限りません。工程ごとの貢献額は按分の仮定にも左右されます。数字は判断の手がかりとして使い、顧客の評価や、事業の方向性と合わせて決めます。

  • 外注すると、付加価値額がどう変わるかを計算した
  • 増員した人が、現在と同じ生産性を出せるかを確かめた
  • 工程ごとの貢献額の按分の仮定を、記録した
  • 数字だけでなく、顧客の評価も合わせて判断した