STP分析とは|分ける・決める・違いをつくる

STP分析は、市場を細かく分け(セグメンテーション)、狙う客層を決め(ターゲティング)、競合と違う独自の立ち位置をつくる(ポジショニング)、3ステップの市場戦略の手法です。マーケティング理論で広く使われています。

進め方には3つの考え方があります。まず、顧客を年齢や地域だけでなく、「何に困っているか」「何を重視するか」で分けます。次に、全員ではなく「この人」を決めます。そして、競合と同じことをしていれば価格で選ばれるだけなので、「うちでしかできない理由」を一つつくります。ターゲットの考え方は、中小機構のJ-Net21でも、性別や年代だけでなく、価値観や利用の頻度まで掘り下げて決めるものとして説明されています。

STPの3ステップ
ステップやること
S セグメンテーション市場を何らかの基準で区分けし、グループに細分化する
T ターゲティング細分化した市場から、自社が狙うグループを決める
P ポジショニングターゲットの市場で、どう差別化した価値を提供するか、立ち位置を明確にする

セグメンテーション|8つの切り口を掛け合わせる

セグメントは、2つ以上の切り口を掛け合わせると、顧客の姿がはっきりします。次の8つの切り口から、自社に合うものを選びます。

セグメントの8つの切り口
切り口見る点分け方の例
顧客属性業種、企業規模、地域、年商、従業員数製造業向け・サービス業向け/大企業・中小企業
購買行動購買頻度、購買単価、決裁の流れ、購買時期まとめ買い型・都度購入型/計画購買・緊急購買
利用目的・用途利用場面、解決したい課題、達成したい目標コスト削減が目的・業務の効率化が目的
価値観・重視点品質、価格、スピード、サービス確実性重視・スピード重視・価格重視
成熟度・リテラシー初心者、中級者、上級者、専門家初めて導入する・他社から乗り換える
緊急度・重要度今すぐ必要か、計画的か、将来の課題か欠員の緊急補充・計画的な採用
関係性の深さ新規、既存、休眠、優良お試しの顧客・継続の顧客・紹介元になる顧客
変化への対応力新しいものを早く試すか、実績を見てから導入するか最新技術を早く試す層・同業の動向を見て決める層

ターゲティング|決め方の6つの基準

セグメントに分けたら、狙う相手を決めます。限られた経営資源で成果を出すために、選択と集中が必要です。次の6つの基準で、候補のセグメントを比べます。数値の基準は、自社の事情に合わせて、あらかじめ決めておきます。

ターゲットを決める6つの基準
基準確認すること
市場規模と収益性規模と利益率が両立するか。大きくても薄利では経営が苦しくなる
自社の強みとの整合今ある技術・人材・設備・顧客基盤を生かせるか。投資の余力はあるか
競合状況競合の数と強さはどうか。競合の少ないニッチで一定のシェアを狙えるか
成長性今の規模だけでなく、数年後に伸びる見込みがあるか
到達可能性顧客に接する手段(展示会、紹介、Web、DMなど)が具体的にあるか
測定可能性市場規模、顧客数、シェア、獲得コストなどを数字で把握できるか

ポジショニングと、つまずきやすい点

ポジショニングでは、ターゲットが重視する2つの軸を選び、競合と自社の位置を図にして、空いている場所や自社が一番になれる場所を探します。軸は、顧客が選ぶときの基準から決めます。

つまずきやすい点も確認しておきます。「全員にとって良い会社」をめざすと、誰にとっても中途半端になります。切り口が顧客属性だけだと、顧客が何に困っているかが見えません。ターゲットを決めても、そこに届く手段がなければ計画は進みません。違いをつくる前に、自社の強みを確かめます。

完璧な市場を探す必要はありません。市場の規模が小さくても利益率が高い、競合が多くても差別化で棲み分けられる、買い手が強くても関係で補える、というように、自社の強みと組み合わせて、勝ち方を探します。

  • 切り口を2つ以上掛け合わせて、顧客を具体的に描いた
  • 「何に困っているか」の視点でも分けた
  • ターゲットを、6つの基準で比べて決めた
  • ターゲットに届く手段が、具体的にある
  • 競合と違う、自社の立ち位置を一言で言える