KPIとは|ゴールへの中間地点の目印
KPIの設定方法を考える前に、KPIの役割を確かめます。KPI(重要業績指標)は、ゴールへの道筋を示す「中間地点の目印」です。今日何をすれば1か月後に成果が出るかを教えてくれる数字、と考えると分かりやすくなります。KGI(重要目標達成指標)は組織が達成すべき最終目標を示す指標、KSF(重要成功要因)は成功への貢献度が特に高い要因です。
KPIがうまくいかない典型は、次の3つです。施策とKPIがずれる(品質向上の施策なのに、生産数量を指標にする)。測れない指標を置く(「従業員の意識レベル」など)。指標が多すぎる。これを防ぐ方法は、後で説明します。
| 用語 | 意味 | 対応するもの |
|---|---|---|
| KGI(重要目標達成指標) | 組織や部門が達成すべき最終目標となる指標 | 理念・経営目標 |
| KSF(重要成功要因) | 成功への貢献度が特に高い、成功の鍵となる要因 | 競争戦略・強み |
| KPI(重要業績指標) | KGIに向かう途中の経過を評価する指標 | 施策・アクションプラン |
SMARTで、良いKPIかを確かめる
設定したKPIは、SMARTの5つの項目で点検します。中小機構のJ-Net21でも、経営計画の目標を数値で明確にし、達成状況を測れるようにすることが、実行のポイントとして紹介されています。
| 項目 | 確かめること |
|---|---|
| S 具体的か(Specific) | 誰が読んでも同じ理解になるか。5W1Hが入り、明日から何をするか現場が迷わないか |
| M 測定できるか(Measurable) | 本当に測れるか。測るのに、お金や時間をかけすぎないか |
| A 達成できるか(Achievable) | 頑張れば届く範囲か。高すぎても低すぎても、KPIとして適さない |
| R 経営目標に関連するか(Relevant) | そのKPIを達成したら、会社の目標の達成につながるか |
| T 期限が明確か(Time-bound) | いつまでに達成するか、日付で決まっているか |
SMARTでない例と、SMARTな例
同じ狙いでも、書き方で使えるかが変わります。
| 例 | 点検 | |
|---|---|---|
| SMARTでない | 顧客満足度を上げて、売上を伸ばす | 何をいつまでにどれだけ上げるかが分からず、測定の方法も、期限もない |
| SMARTな例 | 来年3月末までに、リピート率(2回以上来店した客÷全客数)を現状の60%から75%に上げる | 指標と測り方が明確。現実的な改善幅で、リピートの増加が売上につながる。期限もある |
KPIをつくる7ステップ
KPIは、数字から作らず、施策の成功状態から逆算します。数値化した指標から取り組むと、管理すること自体が目的になります。ある食品スーパーが「地域の高齢者に優しい店」という戦略を進める場合の例(仮の例)で説明します。
| ステップ | やること | 例 |
|---|---|---|
| 1 成功状態を定義する | 施策が成功したとき、どんな状態かを具体的に描く | 高齢者が買い物で疲れない/商品が見つけやすい/気軽に声をかけられる |
| 2 数値化する | 成功状態を、測れる指標に置き換える | 平均の滞在時間、65歳以上の来店率、商品の問い合わせ件数 |
| 3 因果関係を整理する | 指標の関係をKPIツリーに整理する | 売上→客数と客単価→来店の増加、リピート率、買上点数 |
| 4 管理レベルを決める | 活動指標・KPI・KGIを、頻度とともに分ける | KPIは週次、KGIは月次で確認する |
| 5 現状値と目標値を決める | 現状と過去最高を踏まえ、届く範囲の目標にする | 過去最高の1割〜2割増を目安にする(whymeの考え方) |
| 6 相互の影響を確かめる | ある指標を上げると、別の指標が下がらないかを見る | 高齢者の来店を増やしすぎて、若い家族連れが減らないか |
| 7 運用のルールを決める | 誰が・いつ・何を・誰に・どう報告し、改善会議で扱うかを決める | 測定担当、タイミング、方法、報告先、会議を表にする |
活動指標・KPI・KGIを分ける
指標は、3つの層に分けて管理します。活動指標は、やったかどうか(実施の有無)を見る指標で、現場が日次で確認します。KPIは、うまくいったかどうか(成果)を見る指標で、週次で管理職が確認します。KGIは、最終の成果を見る指標で、月次で経営層が確認します。
この分け方は、whymeの講座資料での整理で、業種や運用によっては、活動量をKPIに置く場合もあります。大切なのは、「やったかどうか」と「うまくいったかどうか」を混ぜないことです。目標値は、現状だけでなく過去最高の値も踏まえて決め、過去最高を少し上回る程度が現実的です。
- 施策の成功状態を、先に文章で定義した
- 成功状態を、測れる指標に置き換えた
- 活動指標・KPI・KGIを分けた
- 目標値は、現状と過去最高の両方を見て決めた
- ある指標を上げたときに、悪化する指標を確かめた
- 誰が・いつ・何を・誰に報告するかを決めた
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