アクションプランとは|1年を、足元の一歩に区切る

アクションプランの作り方を理解する前に、よくある失敗を確かめます。ある食品メーカーの例です(仮の例)。社長が「健康食品で売上を伸ばす」という戦略と、1年間の棒線が1本ずつ引かれたスケジュールを発表し、「1年後に完成させればよい。各自で考えて進めてほしい」と伝えました。

3か月後、開発部は「1年あるから」と基礎研究から始めて試作品はゼロ、営業部は仮の仕様で営業を始めて、顧客から「サンプルは?」と聞かれて信用を損ない、製造部は「仕様が決まらないと動けない」と通常業務のまま。年末、得意先から「新商品はどうなりましたか」と聞かれ、完成していないことが分かります。「1年は長い」という錯覚が、全員の行動をずらしたのです。

アクションプランは、ゴールまでの道のりを細かく区切って、一歩ずつ進むための「やることリスト」と「順番」を決めたものです。中小機構のJ-Net21でも、大きな課題を小さな課題に分け、解決の時期や順序を一つの表(アクションプラン)にまとめる方法が紹介されています。

アクションプランに書くこと|最小限の4項目から

完全な形にこだわらず、最小限の項目から始めても、組織は動けます。まず、何を(What)、誰が(Who)、いつまでに(When)、成果物は何か(Output)の4つを書きます。余裕があれば、依存関係、必要なリソース、進捗の確認方法を加えます。

アクションプランに書く項目
項目内容最小限
What(タスク)具体的に何をするか必須
Who(担当)責任者と実行者必須
When(期限)開始日と完了の期限必須(完了日)
Output(成果物)完了したときに何ができているか必須
Dependency(依存関係)前提となるタスクや条件あとで追加
Resource(資源)必要な人・もの・お金あとで追加
Check(確認方法)進捗をどう確かめるかあとで追加

アクションプランをつくる6ステップ

ゴールから逆算して、次の6ステップで作ります。新商品の開発を1年で行う場合を例にします(仮の例)。時期や数字は、例示です。

アクションプランをつくる6ステップ
ステップやること例
1 最終成果物を定義する施策が完了したとき、何ができ上がっているかを決める。後工程が引き継げる状態にする新商品3品の製品化。各品に、最終レシピ、製造手順書、品質規格書、原価計算書が揃っている
2 マイルストーンと判定基準最終成果物から逆算し、節目と、次に進む判定基準・判定者・未達のときの対応を決める(まず四半期ごとが目安)コンセプトの承認/試作品の完成/モニター調査の合格/製品化の完了
3 大工程に分けて、予定を組む後ろから逆算し、余裕を見て、繁忙期を避ける企画・調査/試作/評価・検証/製品化の4つの工程に分ける
4 詳細のタスクを洗い出す粒度をそろえ、成果物で書く「売場調査」→「競合商品マップ」、「消費者アンケート」→「ニーズ分析表」
5 依存関係を整理するタスクの順序と依存を明確にし、遅れが全体に響く経路(クリティカルパス)を確かめる原材料の調達(仕入先との交渉)が、試作の開始を左右する
6 リソースを割り当てる人・もの・お金を、各タスクに割り当て、実現できるかを確かめる担当者の稼働率、必要な予算を表にする

タスクの粒度・依存関係・余裕の取り方

アクションプランが機能しない原因は、タスクの作り方にあることが多くあります。粒度をそろえます。「新商品の開発(3か月)」の隣に「会議室の予約(10分)」が並ぶと、重要な中間作業が抜けます。1人が1〜2週間で完了できる大きさを目安にそろえます。作業と成果物を混ぜません。「検討する」は「検討結果報告書の作成」のように、成果物で書き換えます。「その他」は使いません。想定できる作業は小さくても書き出し、予想外の作業のためには、予備の工数を別に確保します。

予定には余裕を持たせます。whymeの講座資料では、予定より2〜3割長めの時間を見込む考え方を紹介しています。計画どおりにいかないのは当たり前、という前提です。また、外部との調整や承認が必要なタスクは遅れやすく、全体の遅れの原因になりやすいため、早めに着手します。

  • タスクの大きさを、1〜2週間ほどにそろえた
  • 作業ではなく、成果物で書いた
  • 「その他」を使わず、予備の工数を別枠で確保した
  • 遅れると全体が遅れるタスク(外部調整・承認)を確かめた
  • 人の稼働率とスキルの面から、実行できるかを確かめた

現場でつくり、週次で見直す

アクションプランは、経営と現場の対話の道具です。上から降ってきた計画は他人事になりますが、自分が作成に関わった計画は「自分の約束」になり、実行の意欲が高まります。作成の段階から現場に参加してもらい、実現できる範囲で作ります。壁に貼るなど、見える化も大切です。

実行が始まったら、PDCAを回します。目標の背景を説明して設定する(計画)、アクションプランに沿って実行し、できなければ早めに知らせる(実行)、結果を、達成基準に対して、数字でシンプルに評価する(確認)、次の行動を具体的に決め、効果が出ない取り組みは見直す(改善)、という状態が目安です。計画を計画どおりに実施するために、進捗を細かく確認して、問題を早く見つけることの大切さは、中小機構のJ-Net21でも指摘されています。見直しの頻度は、月次と週次などを組み合わせ、3か月ほどの短い計画から始めて、成功体験を積む進め方もあります。