非上場株式の新評価法はいつから?もう決まったのか

2026年10月4日時点で確認した国税庁の公表資料では、取引相場のない株式の評価方法の見直しが有識者会議で議論されています。会議は9月16日の第6回が最新で、適用開始日や取りまとめの時期は示されていません。第6回資料も検討論点を示したものであり、そこで示された案を、そのまま現在の申告に使える確定した評価方法として扱うことはできません。

ニュースを読んだ際は、公表日、会議での提案、正式に公表された通達、適用時期を分けて確認しましょう。検討の進展は国税庁の会議資料や議事要旨で確認できます。この記事も上記の確認日時点の整理です。

残余利益方式など、何が議論されているのか

8月20日の第5回資料では、会社の規模ごとに分かれた現行の評価方式をなくし、収益力を軸にした共通の方式とする方向が問いかけの形で示されました。その軸として検討されているのが残余利益方式です。残余利益方式は、純資産に、株主が通常期待する収益を上回る利益(残余利益)の価値を加えて考える方法で、第5回資料は評価額を「簿価純資産±数年分の超過収益」とする案を仮に示しています。

現在の評価は、取得する株主の区分や会社の規模などで方式が異なります。検討案の条件によって計算結果は変わるため、名称だけで自社の株価がいくらになるかは判断できません。現行制度の計算、検討案の説明、独自の仮定試算を同じものとして比較しないことが大切です。

第6回有識者会議(9月16日)で検討された主な論点

第6回資料は、残余利益方式で使う数値と計算の細部、残余利益方式によらず純資産価額方式で評価する「特定の評価会社」を検討事項として整理しています。どの項目も「〜としてはどうか」という提案の段階です。資料には、加算期間5年・還元率8%と仮定して1,378社の申告データで計算した試算もあり、しんしゃく率を0.8とした場合、現行の申告評価額以下になる会社の割合は小会社で67.9%、大会社で24.2%でした。

次の表は、資料で示された主な案と、自社で確認しておきたいことの対応です。純資産価額方式の計算、還元率の算出方法、少数株主向けの配当還元方式は、第7回以降の論点とされています。計算の考え方は、残余利益方式の解説記事で詳しく整理しています。

第6回資料の主な論点と、自社で確認しておくこと
論点資料で示された案(検討中)自社で確認しておくこと
計算に使う数値会計帳簿ではなく、法人税申告書に基づく純資産と利益を使う直近と過去5期分の法人税申告書
加算する期間残余利益は5年程度とし、課税時期前5年の正常利益から計算する。6年目以降は加算しない5期分の利益の推移と、大きく動いた年の理由
一時的な損益オペレーティングリースによる損益や一時的な役員退職金を除いた正常利益で評価する特別な損益の内訳と、その発生理由
含み損のある資産一定の要件の下で減損を反映する(含み益を考えないこととの整合は今後整理)帳簿価額より価値が下がった資産の有無
子会社株式完全支配関係にある子会社の株式は、帳簿価額によらず適正な価額に修正するグループ会社の持株関係
従業員持株会一定の要件を満たす場合は固定価格で評価し、他の株式の評価で調整する持株会の規約、取得・退会時の価格
特定の評価会社資産管理会社、組織再編直後、開業後5年未満、開業前、休業中、清算中の会社は純資産価額方式などで評価する保有資産の構成、開業・組織再編の時期

自社への影響を考えるために、揃えたい資料

まず、手元の株価資料がいつ、誰の取得を前提に計算されたものかを確認します。以前の株価だけが残っていても、株主構成や会社の資産が変わっていれば、その数字だけでは承継の判断ができません。

次に、決算書と申告書、株主名簿、保有資産、借入の資料を揃えます。顧問税理士には「現行制度での評価の前提」「不足している資料」「見直しが進んだ場合に再確認する項目」を分けて相談すると、次に何を準備するかが明確になります。

  • 現在の株主と持株数、誰にどの株式を渡す予定か
  • 直近と過去数年の決算書・法人税申告書、過去の株価計算資料
  • 一時的な利益・損失と、継続して見込める収益の違い
  • 土地・有価証券などの保有資産と、会社の借入・保証
  • 承継の希望時期と、先代・後継者・家族の意向

評価額と、実際に用意する資金を分けて考える

株式の評価額が、そのまま納税額や売却価格になるわけではありません。相続・贈与の税額には、株式以外の財産や取得する人の状況なども関わります。会社の現預金と、株主個人が納税や株式取得に使える資金も分けて整理します。

税務の試算は税理士と確認し、その結果を経営の計画につなぎます。会社には運転資金、設備投資、借入返済が必要です。承継に伴う支出と将来の事業資金を並べ、会社と後継者の双方が無理なく進められる順序を検討します。

無料診断で確認できることと、専門家に確認すること

whymeの「会社の価値 無料診断」は、相続・贈与や売却の観点から、自社の状況を整理する入口です。入力内容と対応範囲に応じた参考試算であり、すべての会社や株式について評価額を出せるものではありません。個別確認が必要な場合は、その点をご案内します。

評価見直しに関する機能は、仮の条件による独自の試算です。国税庁の最新案の再現、将来の増税額の予測、申告に使える正式評価を提供するものではありません。診断をきっかけに疑問を整理し、具体的な評価・税額・制度の適用は税理士と確認してください。

株式の準備を、経営の引き継ぎまでつなげる

株式を渡す時期だけを決めても、後継者が経営を担える状態になるとは限りません。先代が続ける役割、後継者に渡す判断、幹部との分担、承継後の収益と資金の見通しも必要です。

whymeは、経営者・後継者との対話を通じて現状と課題を整理し、承継計画、後継者育成、現場での実行と振り返りを支えます。税務・法務の判断は専門家の確認を交え、決めたことを誰が、いつ、どの順序で進めるかに落とし込みます。