株主と権利の現在地を確認する
いくらの株価かを調べる前に、誰が何株を持っているか、議決権や譲渡制限にどのような定めがあるかを確認します。株主名簿、定款、過去の譲渡書類を集め、名義と実際の所有を巡る疑問があれば専門家に調べてもらいます。
社長が大半を所有していると思っていても、過去の相続や譲渡が整理されていない場合があります。曖昧な所有関係を前提に税額だけ計算しても、予定どおりに株式を渡せないかもしれません。
何のための評価かを先に決める
非上場株式の相続税・贈与税の評価は、取得する株主の区分、会社の規模や資産構成などで方法が異なります。「少数の株式だから配当還元方式」と単純には決められません。評価時点と必要資料を税理士に確認します。
一方、M&Aの売買価格は交渉や将来の収益なども踏まえて決まります。相続税評価額と同額で売れるとは限らず、売買の税務にも取引当事者等に応じた確認が必要です。用途の違う数字を一つの「株価」にまとめないことが重要です。
制度・手続きの確認先
贈与・売買・相続を、資金の流れで比べる
贈与では受け取る側の税負担、売買では買う側の取得資金と売る側の税負担、相続では発生時の資産構成や納税資金を考えます。方法だけでなく、いつ、何株を、誰から誰へ移すかで検討内容が変わります。
先代に生活資金が必要なのか、後継者に取得資金があるのか、他の相続人にどう配慮するのかを同じ表に置きます。移転時点の税額が小さくても、その後の経営の自由度や家族への支払いに問題が残れば、全体として適した方法とはいえません。
法人版事業承継税制は、期限と継続要件を確認する
国税庁が公表する法人版の特例措置では、特例承継計画の提出期限は2027年9月30日、対象となる贈与・相続の期限は2027年12月31日です。本記事の確認日は2026年9月10日です。一般措置や個人事業者向け制度とは区別してください。
この制度は要件を満たす場合の納税猶予等であり、利用すればその場ですべての税がなくなるものではありません。代表・保有等の要件、報告、猶予が終了する条件、将来の売却や再編への影響を確認し、利用しない場合とも比較します。
節税のために、事業の力を削らない
不要な設備投資や無理な資金流出で評価を抑えようとすると、後継者が必要とする運転資金や投資余力を失います。持株会社化や種類株式も、導入すれば自動的に有利になる仕組みではありません。
まず現状の概算を把握し、複数案について税額、会社と個人の資金、議決権、実行費用、将来の制約を比べます。アトツギ・ナビによる情報整理や試算も判断材料の一つとし、申告や移転の実行は専門家の確認を経て進めます。
- 評価の目的・基準日・前提条件
- 株式を渡す相手と、必要な議決権
- 会社・先代・後継者それぞれの資金負担
- 制度利用後の報告と、将来の売却・再編の予定
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