価格の目安だけで話を進めない
企業価値の検討には、資産・負債、将来の収益、類似取引などを踏まえる考え方があります。どの方法でも前提によって数字が動き、最終的な売買価格を保証するものではありません。算定された金額が、株式の価格なのか、借入等を調整する前の事業の価値なのかも確認します。
経営者が知りたいのは、譲渡代金だけでなく、手数料や税金、債務の扱い等を踏まえた手取りかもしれません。退職金を含む提案では、価格との二重計上や会社の資金への影響を確認します。
継続する利益を説明できるようにする
一時的な売上、臨時の損失、経営者との取引などがあると、その年の利益だけでは今後の収益を判断しにくくなります。調整が必要な項目を、証拠となる資料とともに整理します。都合のよい項目だけを除外してはいけません。
商品・顧客別の採算、継続契約、受注の見通し、必要な設備更新まで確認します。「顧客との関係が強い」と説明するなら、誰が関係を担い、社長交代後にも継続できる理由が何かを示します。
属人的な強みを、引き継げる仕組みにする
社長だけが値決めし、重要顧客の相談を受け、トラブルを収めている場合、買い手は交代後を心配します。担当者への同行、見積もり基準、技術の記録、幹部の意思決定経験など、社長への依存を減らす準備を進めます。
仮に特注品メーカーなら、製品名と売上だけでなく、図面管理、加工条件、検査基準、顧客との調整履歴が継続性の説明になります。これは想定例です。見栄えのよい企業概要書にする前に、実態を整えます。
問題点も整理し、段階的に情報を開示する
未回収の債権、動かない在庫、契約上の制約、訴訟や労務の懸念があれば、把握している事実と未確認事項を分けます。後から判明すると、交渉のやり直しや責任の問題につながります。
顧客名や技術情報をいきなり全開示せず、秘密保持、閲覧者、目的、段階に応じた開示範囲を支援者と決めます。資料ごとに担当と更新日を付けると、買い手の調査に対しても確認の重複を減らせます。
- 決算と調整項目の根拠
- 顧客・商品・人材への依存と対策
- 借入、保証、重要契約、許認可の一覧
- 不足資料の担当者と、共有できる範囲
価格以外の条件と、支援会社の契約を読む
雇用、屋号、拠点、先代の引き継ぎ期間、保証の解除など、残したい条件を具体化します。買い手の資力や実行体制も確認し、契約条項だけでなく、誰がどの手続きをいつ行うかまで詰めます。
中小M&Aガイドライン第3版は、手数料、利益相反、不適切な譲り受け側への対応などを扱っています。支援会社を比較するときは、報酬の計算基準・最低額、仲介かFAか、相手側からの報酬、業務範囲や制約について説明を求めてください。
制度・手続きの確認先
ご相談