専任条項がある仲介契約・FA契約の契約期間
最長でも(目安)6か月〜1年以内
専任条項は、契約期間中はほかの仲介者・FAに並行して依頼しない約束です。長く縛られると、うまく進まないときに別の支援機関へ乗り換えられないため、契約期間は最長でもこの範囲を目安に定めるべきとされています。
ひっかけに注意テール期間の目安「2年〜3年以内」と入れ替えた選択肢に注意。中途解約できる条項を設けることも望ましいとされる。
中小企業M&A実務能力・倫理検定で、数字を入れ替えて問われやすい事項230項目をまとめました。数字だけを覚えるのではなく、何の数字かとどんな場面で使うか、似た数字との違いをセットで押さえると、入れ替えのひっかけに強くなります。
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最長でも(目安)6か月〜1年以内
専任条項は、契約期間中はほかの仲介者・FAに並行して依頼しない約束です。長く縛られると、うまく進まないときに別の支援機関へ乗り換えられないため、契約期間は最長でもこの範囲を目安に定めるべきとされています。
ひっかけに注意テール期間の目安「2年〜3年以内」と入れ替えた選択肢に注意。中途解約できる条項を設けることも望ましいとされる。
最長でも(目安)2年〜3年以内
テール条項は、M&Aが成立しないまま契約が終わった後でも、一定期間内に紹介先とM&Aが成立したら手数料を請求できるという条項です。手数料逃れを防ぐためのものですが、長すぎると依頼者の自由な経営判断を妨げるため、期間の目安が示されています。
ひっかけに注意専任条項の契約期間「6か月〜1年以内」と逆にしない。対象は仲介者・FAが関与・接触し紹介した譲り受け側に限定すべき。
契約終了後2年以内
ガイドラインの仲介契約書サンプルでは、取引が実行されないまま契約が終わっても、終了後この期間内に仲介者が紹介した候補先と取引が成立したら成功報酬を支払うと定めています。目安の範囲内に収めた具体例として使われます。
ひっかけに注意ガイドラインの目安は「2年〜3年以内」、サンプルの条文は「2年以内」。どちらを問われているか確認する。
満了1週間前までに申出なければ1年延長1年間
サンプルの仲介契約は締結日から1年間有効で、満了日の1週間前までにどちらからも申出がなければ同じ条件で1年延長されます。ただし取引の検討・交渉が終わった時点で契約も終了します。契約期間を確認するときの基準になります。
ひっかけに注意秘密保持契約書サンプルの有効期間「2年間」と混同しない。交渉終了時には満了前でも契約が終わる。
一例(各社で異なる)5%
レーマン方式は、譲渡額などの基準額を価格帯に分け、帯ごとに料率を掛けて合計する成功報酬の計算方法です。基準額が5億円以下なら、基準額全体にこの料率を掛けた額が成功報酬の計算額になります(最低手数料がある場合はそれと比べます)。
ひっかけに注意料率は「一例」で法定ではない。基準額が譲渡額か移動総資産額か(負債を足すか)で金額が大きく変わる。
出典:中小M&Aガイドライン(第3版)本文 p.65、参考資料7 各種契約書サンプル(2025年12月15日時点版) p.5
一例(各社で異なる)4%
基準額が5億円を超えると、超えた部分だけにこの料率を掛けます。全額に4%を掛けるのではない点が計算問題の要です。例えば基準額7億円なら、5億円×5%+2億円×4%で成功報酬を求めます。
ひっかけに注意7億円全体に4%を掛ける誤りに注意。帯ごとに分けて計算し、最後に合計する。
出典:中小M&Aガイドライン(第3版)本文 p.65、参考資料7 各種契約書サンプル(2025年12月15日時点版) p.5
50億以下/100億以下/100億超3%/2%/1%
10億円超50億円以下の部分は3%、50億円超100億円以下は2%、100億円超は1%と、金額が大きい帯ほど料率が下がります。大きな案件で手数料が過大にならないようにする仕組みで、例えば基準額20億円なら5億×5%+5億×4%+10億×3%となります。
ひっかけに注意料率は帯が上がるほど下がる(逓減)。20億円案件を一律3%や5%で計算する誤りに注意。
出典:中小M&Aガイドライン(第3版)本文 p.65、参考資料7 各種契約書サンプル(2025年12月15日時点版) p.5
着手金110万円+成功報酬550万円660万円(税込)
着手金100万円(税抜)と、譲渡額1億円×5%の成功報酬に、それぞれ消費税10%を加えた合計です。着手金が成功報酬とは別払いの場合、両方を足して総額を出すという計算の基本形として使います。
ひっかけに注意消費税(×110%)の加算漏れや、着手金を成功報酬から差し引いてしまう誤りに注意。
譲渡額5億円・負債5億円の場合4,950万円(税込)
成功報酬の基準を譲渡額ではなく、負債を足した移動総資産額10億円としたため、譲渡額基準より手数料が大きくなる例です。成功報酬に含まれる中間金は後で差し引きます。基準額の違いが手数料に与える影響を確認するのに使います。
ひっかけに注意基準を譲渡額5億円で計算すると別の金額になる。成功報酬に含まれる中間金は二重に払わない。
最低手数料が適用1,100万円(税込)
レーマン方式の計算額は5,000万円×5%で250万円(税込275万円)ですが、最低手数料1,000万円(税込1,100万円)を下回るため最低手数料が適用されます。小さな案件ほど最低手数料で手数料率が高くなることを示す例です。
ひっかけに注意計算額と最低手数料は高い方を払う。譲渡額に占める割合は2割を超えることになる。
次いで1,000万円(71件)500万円(81件)
令和5年3月の第8回「中小企業の経営資源集約化等に関する検討会」の資料で、登録支援機関が設定する最低手数料の分布を示したグラフです。最低手数料は会社ごとに違うため、依頼前に必ず確認する必要があることを示す根拠として使われます。
ひっかけに注意最多は500万円で、1,000万円は2番目。最低手数料の水準は法令や制度で決まっていない。
(1)契約類型〜(17)情報共有の仕組み17項目
仲介者・FAが契約前に依頼者へ契約内容を説明するための書面の見本で、業務範囲、手数料、相手方の手数料、専任、直接交渉の制限、テール、契約期間、利益相反のおそれなどを並べています。何を説明すべきかの一覧として使います。
ひっかけに注意サンプルの使用は必須ではなく、重要事項が書かれていれば様式は問わない。
出典:参考資料11 M&A仲介契約/FA契約 重要事項説明書サンプル p.2、参考資料11 M&A仲介契約/FA契約 重要事項説明書サンプル p.12
譲渡額2,000万円で66万円(税込)3%(最低30万円)
ガイドラインの具体例では、譲り渡し側は手数料なし、譲り受け側だけが譲渡額の3%(最低30万円・税抜)を払う設定です。プラットフォームは仲介者に比べ低コストで使える場合があることを示します。マッチング後に専門家の支援を受ければ別途費用がかかります。
ひっかけに注意2,000万円×3%×110%=66万円。譲渡額が小さいと最低手数料30万円(税込33万円)が適用される。
契約書に定めなければならない少なくとも5つ
仲介者は売り手と買い手の双方から依頼を受けるため、一方に肩入れする危険があります。追加手数料と引換えの便宜、リピーター優遇、希望額との差額報酬の要求、伝達の不作為・虚偽伝達、一方に有利・不利な情報の秘匿の5つを禁じ、契約書にも書くよう求めています。
ひっかけに注意「少なくとも」なので5つに限られない。FA契約ではこの条項は不要。
最低限(必要である)3つ
①双方と契約する仲介者であること(双方から手数料を受け取るならその旨)を伝える、②バリュエーションやDDの結論を自ら決めず専門家の意見を求めるよう伝える、③利益が対立しうる事項を説明し関連情報を適時に開示する、の3つです。仲介という形態を認める前提条件です。
ひっかけに注意禁止行為の「5つ」と混同しない。措置は「するべきこと」、禁止行為は「してはならないこと」。
通常(見込み)数か月〜1年程度
相手探しから条件がまとまるまでには通常これくらいかかるため、ガイドラインは早めに判断して動き出すことを勧めています。業績が悪化してからでは選択肢が狭まり、資金繰りが尽きることもあるため、意思決定の先送りを戒める根拠になります。
ひっかけに注意「1か月程度で完了」とする選択肢は誤り。クロージング後の引継ぎ期間「3か月〜1年程度」とも区別する。
用意すれば十分直近3年分
最初の相談では、直近3年分の税務申告書・決算書(損益計算書・貸借対照表を含む)・勘定科目内訳明細書の写しがあれば足ります。会社案内などもあるとよく、それ以上の詳しい資料は支援機関の指示を受けてから準備すればよいとされています。
ひっかけに注意「5年分」や「DD用の資料を全部そろえる」は誤り。
別段の定めがない限り有効期間満了後3年間
仲介契約・秘密保持契約・基本合意書のサンプルでは、契約の有効期間が終わっても秘密保持義務だけはこの期間残るとしています。M&Aが成立しなくても、交渉で知った相手の情報を一定期間守らなければならないことを示します。
ひっかけに注意秘密保持契約書サンプルの有効期間そのもの「2年間」と、満了後の存続期間「3年間」を取り違えない。
出典:参考資料7 各種契約書サンプル(2025年12月15日時点版) p.4、参考資料7 各種契約書サンプル(2025年12月15日時点版) p.10
申出がなければ1年ずつ延長2年間
譲り渡し側と譲り受け側が互いに開示する情報を守る秘密保持契約のサンプルは、締結日から2年間有効で、満了までにどちらからも解約の申出がなければ1年ずつ延長されます。当事者間の秘密保持契約の期間設定の例になります。
ひっかけに注意仲介契約書サンプルの有効期間は「1年間」。満了後の秘密保持義務の存続は「3年間」。
譲り渡し側の紹介から(目安)概ね2か月前後
譲り受け側は、譲り渡し側の紹介を受けてから検討を重ね、この程度の期間を目途に意向表明書を出すのが通常とされます。プロセスレターがあれば期限が明記されます。意向表明書は法的拘束力がない書類である点も併せて押さえます。
ひっかけに注意基本合意書サンプルのDD期間「1か月間」と混同しない。
出典:中小M&A専門人材(個人)向け 使命、倫理・行動規範、知識スキルマップ(2025年4月、2026/10/13誤植修正) p.71
基本合意締結日から(目処)1か月間
基本合意書サンプルでは、譲り受け側が基本合意から1か月間を目処に、事前に開示された貸借対照表などが正確かを確かめるDD(買収前の詳細調査)を行い、譲り渡し側株主がこれに協力すると定めています。基本合意の後にDDへ進む流れを示す例です。
ひっかけに注意意向表明書の提出時期の目安「概ね2か月前後」と混同しない。期間は例示で、案件により異なる。
特段の事情なく設ける場合2か月以上
最終契約の後、代金決済などのクロージングまでに準備期間を置くことがありますが、特段の事情なく2か月以上空けると、その間の業績変化などで契約の修正や不履行が起きるおそれがあります。リスク事項説明書でも説明対象とされています。
ひっかけに注意「6か月以上」ではない。期間を置くこと自体は禁止されておらず、長さを慎重に検討する趣旨。
出典:中小M&Aガイドライン(第3版)本文 p.56、参考資料12 最終契約におけるリスク事項についての説明書サンプル p.5
クロージング後3年以内が多い
アーンアウト条項は、クロージング後の一定期間に売上・利益などの目標を達成したら譲り受け側が追加の対価を払う約束です。この期間は3年以内が多いとされます。目標の決め方が曖昧だと争いになりやすいため、慎重な検討が求められます。
ひっかけに注意期間は法定ではなく「多い」という実務の傾向。テール期間「2年〜3年以内」とは別の話。
出典:中小M&Aガイドライン(第3版)本文 p.54、参考資料12 最終契約におけるリスク事項についての説明書サンプル p.4
借り換え・一括弁済など1か月以内
金融機関が保証を外せない、または条件付きと示したのに、譲り受け側が1か月以内に借り換えや一括弁済など自分の負担で保証を外さなければ事由になります。譲り受け側に解除の責任を負わせるための期限です。
ひっかけに注意行使期間「1年」・事由①「3か月」・事由②「14日」と区別。期限は当事者間の合意で金融機関の審査を拘束しない。
出典:参考資料7 各種契約書サンプル(2025年12月15日時点版) p.22、参考資料7 各種契約書サンプル(2025年12月15日時点版) p.23
少なくともこの粒度で(ア〜キ)7項目(2段階)
ガイドラインは、成立後のトラブルを防ぐため、経営者保証・DDの非実施・表明保証の3つは認識の有無に関わらず対応し、クロージング後の支払、支払の調整、資産・貸付金の整理、クロージングまでの期間の4つは認識した段階で対応する、という2段階を示し、少なくともこの粒度での対応を求めています。
ひっかけに注意「認識の有無に関わらず対応する」のは経営者保証・DD非実施・表明保証の3つ。残り4つは認識した段階で対応。
多い(個別に異なる)3か月〜1年程度
クロージング後は、代表者変更や取引先への報告、事業譲渡なら売掛金の口座変更や就業規則の統一などの引継ぎがあり、これくらいの期間がかかることが多いとされます。譲り渡し側は譲り受け側の希望に応じて適宜協力することが望まれます。
ひっかけに注意「クロージング後1か月以内に限り協力が義務」とする選択肢は誤り。
目途(可能な範囲で)Day.100以内
PMI(M&A後の統合作業)では、譲り渡し側の従業員にM&Aのメリットを早く実感してもらうことが大切です。PCの1人1台支給や表彰制度など、すぐ効果が出る改善をクロージング後100日以内を目途に行うことが望ましいとされています。
ひっかけに注意全従業員への説明会は「Day1」など成立後遅滞なく行うもので、クイック・ヒットの「Day.100」とは別。
出典:中小M&A専門人材(個人)向け 使命、倫理・行動規範、知識スキルマップ(2025年4月、2026/10/13誤植修正) p.176、中小M&A専門人材(個人)向け 使命、倫理・行動規範、知識スキルマップ(2025年4月、2026/10/13誤植修正) p.174
早いほうで消滅知った時から5年・行使できる時から10年
債権は、権利を行使できることを知った時から5年間、または行使できる時から10年間行使しないと時効で消滅します。最終契約の補償請求権や売買代金債権などに関わります。人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権は客観的起算点から20年です。
ひっかけに注意「知った時から10年・行使できる時から5年」のように、起算点と年数の組合せを入れ替えた選択肢は誤り。
出典:民法
知った時から3年・不法行為の時から20年
不法行為の損害賠償請求権は、被害者が損害と加害者を知った時から3年間、または不法行為の時から20年間行使しないと時効で消滅します。仲介者の担当者の違法な勧誘など、契約関係がない相手への責任追及で問題になります。
ひっかけに注意「知った時から1年」は誤り。債権一般の5年・10年と区別する。
出典:民法
売主が悪意・重過失なら制限なし不適合を知った時から1年以内
引き渡された物の種類や品質が契約に合わない場合、買主は不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しないと、追完・代金減額・損害賠償・解除を求められなくなります。M&Aの最終契約では、民法の規定に代えて表明保証と補償で期間や上限を定めるのが一般的です。
ひっかけに注意数量の不足はこの期間制限の対象外。商人間売買の検査・通知義務(商法526条)と区別する。
出典:民法
経過すると行使不可破産手続開始から2年・行為の日から10年
否認権は、破産前に債権者を害する財産処分や特定の債権者への弁済を、破産管財人が取り消して財産を取り戻す権利です。破産手続開始の日から2年、または対象となる行為の日から10年を経過すると行使できません。債務超過企業の事業を譲り受ける場面のリスクとして押さえます。
ひっかけに注意相当対価の処分でも、隠匿等のおそれ・破産者の隠匿の意思・相手方の悪意がそろえば否認されうる。
出典:破産法
経過するまでクロージング日から1年
経営者保証が外れないまま株式を手放した譲り渡し側を守るため、契約書サンプルの第15条の2では、所定の事由があれば、譲り渡し側はクロージング日から1年を経過するまで、書面通知で契約を解除するか、相当な価額で株式を買い戻せると定めています。
ひっかけに注意通常の解除はクロージング前に限られるが、この特則はクロージング後の解除を認める点が違う。
経過しても解除されないときクロージング日から3か月
契約書サンプルでは、クロージング日から3か月を経過しても経営者保証等が解除されないことを、解除特則・買戻しの事由の一つとしています。譲り受け側に保証の切り替えを早く進めさせるための期限です。
ひっかけに注意金融機関への相談開始の期限「14日」、行使期間「1年」と入れ替えない。
クロージング日から14日以内
契約書サンプルでは、クロージング日から14日以内に譲り受け側が金融機関等へ経営者保証の解除について具体的な相談を始めないことも、解除特則の事由としています。単なる挨拶や日程調整は相談に含まれません。
ひっかけに注意挨拶・日程調整だけでは「具体的な相談」に当たらない。
クロージング日から数えて1~n回目の決算日+1か月程度
表明保証違反の補償は、いつまでも請求できると譲り渡し側の負担が重いため、請求期限を「クロージング日から●か月」と定めます。サンプルの注では、クロージング日から数えて1~n回目の決算日に1か月程度を加えた時期を目安とする考え方が示されています。決算で問題が見つかることを踏まえた設定です。
ひっかけに注意補償の上限(譲渡価額の●%)は100%に近い場合は妥当性を慎重に吟味する。期限・上限がないのはリスク事項。
出典:参考資料7 各種契約書サンプル(2025年12月15日時点版) p.24、参考資料12 最終契約におけるリスク事項についての説明書サンプル p.3
譲り受け側が了承した手続を除くクロージング日後30日以内
事業譲渡では財産や契約を一つずつ移す必要があり、登記・登録・通知・第三者の承諾などの手続が要るものがあります。事業譲渡契約書サンプルでは、これらの手続をクロージング日後30日以内に完了すると定めています。移転に要する登録免許税等は譲り受け側の負担です。
ひっかけに注意2週間ではなく30日。手続費用の負担者(譲り受け側)も問われる。
等を総合的に6項目
決算書から、譲り渡し側の事業規模、営業利益、EBITDA、債務・資産状況、有利子負債、ネットデットの6項目等を確認し、おおよその成約可能性を判断します。M&Aより企業価値の向上や廃業が望ましければ、その選択肢も示します。
ひっかけに注意企業の付加価値を示す指標として重要とされるのは売上総利益率の推移で、6項目とは別に挙げられている。
出典:中小M&A専門人材(個人)向け 使命、倫理・行動規範、知識スキルマップ(2025年4月、2026/10/13誤植修正) p.22
通常(交渉で決まることが多い)1年〜3年
純資産に数年分の利益を足した金額を譲渡額とする方法で、上乗せする利益の年数です。限られた情報でも計算できる反面、理論的な裏付けがなく恣意性が入りやすいため、算定額は交渉の参考として扱います。
ひっかけに注意「5年〜10年」や法令上の上限はない。加算する利益は税引後利益又は経常利益等。低収益企業では過大評価になりうる。
出典:参考資料2 中小M&Aの譲渡額の算定方法 p.3、中小M&A専門人材(個人)向け 使命、倫理・行動規範、知識スキルマップ(2025年4月、2026/10/13誤植修正) p.43
ケースが多い3つ(簿価純資産法・時価純資産法・マルチプル法)
中小M&Aガイドラインは、この3つの手法で算定した株式価値・事業価値を基に譲渡額を交渉するケースが多いとしています。ただし算出額がそのまま譲渡額になるわけではなく、当事者が最終的に合意した金額が譲渡額です。
ひっかけに注意DCF法はこの3つに入らない。税理士向けの記述では「時価純資産法で算定されるケースが多い」とされる。
3つ(コスト・マーケット・インカム)
コストアプローチは純資産(時価純資産法など)、マーケットアプローチは類似上場会社や類似取引(マルチプル法など)、インカムアプローチは将来のキャッシュフローや利益(DCF法など)に着目します。複数の手法の結果を比べることもあります。
ひっかけに注意時価純資産法=コスト、マルチプル法=マーケット、DCF法・収益還元法=インカムの対応を入れ替えない。
両当事者に対して3点
①確定的な評価ではなく参考として簡易に算定したこと、②一方当事者の意向・意見を考慮したならその内容、③必要に応じて士業等専門家の意見を求められること、の3点です。双方から依頼を受ける仲介者は確定的なバリュエーションをすべきでないためです。
ひっかけに注意考慮した意向の内容は依頼した側だけでなく両当事者に示す。簡易評価そのものは禁止されていない。
出典:中小M&Aガイドライン(第3版)本文 p.93、中小M&A専門人材(個人)向け 使命、倫理・行動規範、知識スキルマップ(2025年4月、2026/10/13誤植修正) p.189
評価倍率の分析結果のレンジ第1四分位〜第3四分位
M&A支援機関登録制度のHPに実装予定のツールで、中小企業が業種と財務情報を入れると自社の株式価値を参考値として把握できます。EV/EBITDA倍率法やPER倍率法などで求めた値を、下限(第1四分位)から上限(第3四分位)の幅で示します。
ひっかけに注意対象は黒字企業の株式譲渡のみ。赤字・債務超過企業や事業譲渡は対象外で、非流動性ディスカウントも考慮しない。
出典:第4回 中小M&A市場の改革に向けた検討会 資料2(2026/3/17) p.45、第4回 中小M&A市場の改革に向けた検討会 資料2(2026/3/17) p.43
直近期の決算書から6項目
簡易計算版では、現預金・有利子負債・簿価純資産(貸借対照表)と、営業利益・減価償却費・当期純利益(損益計算書)を入れます。非事業用資産や一過性の損益、削減可能な費用まで調整したいときは詳細計算版を使います。
ひっかけに注意非事業用資産・負債類似項目・一過性の損益・削減可能な費用は詳細計算版の追加項目で、簡易計算版にはない。
出典:第4回 中小M&A市場の改革に向けた検討会 資料2(2026/3/17) p.44、第4回 中小M&A市場の改革に向けた検討会 資料2(2026/3/17) p.43
割り引くケースもある30%程度
中小企業の株式は上場株式のように市場ですぐに売買できません。そこで、上場会社の倍率を当てはめて算定した株式価値を、流動性の低さを考えて割り引くことがあります。マルチプル法の結果を中小企業向けに調整する場面で使います。
ひっかけに注意法令で決まった率ではなく、必ず適用するものでもない。流動比率や手元資金の少なさによる減額ではない。
一般に3〜5年程度
DCF法では、事業計画に基づいて毎年のフリー・キャッシュフローを詳しく予測する期間を決め、その後は継続価値(ターミナルバリュー)でまとめて評価します。両方をWACCで割り引いて事業価値を求めます。
ひっかけに注意純資産に加算する利益の年数「通常1年〜3年」と取り違えない。割引率はWACC。
出典:中小M&A専門人材(個人)向け 使命、倫理・行動規範、知識スキルマップ(2025年4月、2026/10/13誤植修正) p.47
過去3年程度の平均値
売上債権・棚卸資産・仕入債務ごとに回転日数や回転率を出し、売上高や売上原価の増減に連動させて将来の運転資本を予測します。DDを踏まえて、バリュエーションの前提となる事業計画を修正する場面で使います。
ひっかけに注意DCF法の予測期間「3〜5年程度」と混同しない。直近1期だけの値を使うのではない。
出典:中小M&A専門人材(個人)向け 使命、倫理・行動規範、知識スキルマップ(2025年4月、2026/10/13誤植修正) p.101
3つ(いつ・誰が・どんな状況で作成)
DCF法などのインカムアプローチは事業計画の数字を基にするため、計画が最新の環境を反映しているか、誰が作成・承認したか、数値がどう集計されたかを確かめます。収益が過大だと譲渡額が本来の価値より高くなるおそれがあります。
ひっかけに注意譲渡対価が大きい・成立後の関与が低いと強気の計画、MBOでは過度に保守的な計画になりやすい。逆にしない。
用語集:事業計画(事業計画書)要点:バリュエーション(財務)
出典:中小M&A専門人材(個人)向け 使命、倫理・行動規範、知識スキルマップ(2025年4月、2026/10/13誤植修正) p.94
原則(定款で別段の定め可)議決権の過半数
定足数は、決議を有効にするために出席が必要な議決権の量です。普通決議は、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を持つ株主が出席して初めて成立します。役員の選任など、日常的な決議で使います。
ひっかけに注意定足数(出席の要件)と賛成の要件を混同しない。どちらも「過半数」。
出典:会社法
原則(定款で別段の定め可)出席株主の議決権の過半数
普通決議は、定足数(議決権の過半数を持つ株主の出席)を満たしたうえで、出席した株主の議決権の過半数が賛成すれば可決されます。総議決権の過半数があれば普通決議は確実に通せるため、株式の集約の目安にもなります。
ひっかけに注意基準は「出席株主の議決権」。総株主の議決権の過半数の賛成が必要という選択肢は誤り。
定款で3分の1以上まで引下げ可議決権の過半数
特別決議も、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を持つ株主の出席が必要です。定款で定足数を下げられますが、3分の1未満にはできません。事業譲渡や合併の承認など重要な決議で使います。
ひっかけに注意定款で引き下げられる下限は「3分の1」。定足数を撤廃できるとする選択肢は誤り。
出典:会社法
定款で引上げ可出席株主の議決権の3分の2以上
特別決議は、定足数(議決権の過半数の出席)を満たしたうえで、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。事業の全部の譲渡、合併・会社分割の承認、株式併合などに使われ、確実に通すには総議決権の3分の2以上を持っておくことが望ましいとされます。
ひっかけに注意総株主の議決権の3分の2ではなく「出席株主」の3分の2。4分の3は特例有限会社の特別決議などの要件。
定款でもこれ未満にできない3分の1
役員の選任・解任は普通決議ですが、定足数を定款で引き下げる場合でも議決権の3分の1未満にはできません。クロージング後に譲り受け側が役員を入れ替える決議で問題になります。賛成要件は出席株主の議決権の過半数です。
ひっかけに注意取締役の解任は原則普通決議。監査役の解任は特別決議である点と区別する。
出典:会社法
議決権を行使できる株主が基準株主の半数以上かつ議決権の3分の2以上
特殊決議は、議決権を行使できる株主の頭数の半数以上が賛成し、かつその株主の議決権の3分の2以上が賛成する決議です。株主の権利に大きな影響がある全株式への譲渡制限の新設などに使います。持株数だけでなく人数の要件がある点が特徴です。
ひっかけに注意特別決議(出席株主の議決権の3分の2以上)には頭数要件がない。頭数要件があるのが特殊決議。
出典:会社法
まで会日の2週間前(非公開会社は1週間前)
株主に準備の時間を与えるため、招集通知は総会の日の2週間前までに発します。非公開会社は1週間前までで足り、取締役会を置かない非公開会社は定款でさらに短くできます。株主全員の同意があれば招集手続を省略でき、中小M&Aではこれがよく使われます。
ひっかけに注意書面投票・電子投票を定めた場合は非公開会社でも2週間前。全員同意で書面決議もできる。
出典:会社法
定款で割合を引下げ可譲渡資産が総資産額の5分の1以下
事業の重要な一部を譲渡するには原則として株主総会の特別決議が必要です。ただし、譲り渡す資産の帳簿価額が会社の総資産額の5分の1以下なら、会社への影響が小さいとして株主総会決議は不要です。決議は効力発生日の前日までに受けます。
ひっかけに注意譲渡側は「総資産額」、事業全部の譲受けの簡易手続は「純資産額」が分母。3分の1ではない。
出典:会社法
定款で引上げ可総株主の議決権の10分の9以上
相手方が自社の総株主の議決権の10分の9(90%)以上を持つ特別支配会社であれば、総会を開いても結果は明らかなので、事業譲渡や合併・会社分割などの株主総会決議を省略できます(略式手続)。親子会社間の再編で使われます。
ひっかけに注意3分の2以上ではない。簡易手続の基準「5分の1」と入れ替える選択肢にも注意。
定款で割合を引下げ可対価が純資産額の5分の1以下
事業の全部の譲受けや吸収合併の存続会社などは、交付する対価の額が自社の純資産額の5分の1以下なら、影響が小さいとして株主総会決議を省略できます(簡易手続)。ただし、合併差損が出る場合や非公開会社が譲渡制限株式を交付する場合は簡易手続の対象外です。
ひっかけに注意分母は「純資産額」。略式手続の「10分の9」と入れ替える選択肢に注意。
定款で割合を引下げ可承継資産が総資産額の5分の1以下
吸収分割で承継会社に移す資産の帳簿価額が、分割会社の総資産額の5分の1以下であれば、分割会社の株主総会決議は不要です。組織再編で事業を切り出す側にこの簡易手続があるのは会社分割だけで、合併の消滅会社や株式交換の完全子会社にはありません。
ひっかけに注意分割会社側の分母は「総資産額」。存続会社・承継会社側の簡易手続は「純資産額」が分母。
出典:会社法
法務省令で定める数の株式を持つ株主通知・公告の日から2週間以内
簡易手続で総会を省略する場合でも、一定数の株式を持つ株主が、会社からの通知または公告の日から2週間以内に反対を通知すると、効力発生日の前日までに株主総会の承認を受けなければなりません。株主の意思を確かめる安全弁です。
ひっかけに注意反対株主の株式買取請求の期間(効力発生日の20日前から前日まで)と混同しない。
効力発生日の20日前まで
反対株主が株式買取請求をできるよう、会社は効力発生日の20日前までに、事業譲渡や合併等をする旨を株主に通知します。公開会社である場合や、株主総会の決議で承認を受けた場合は、通知に代えて公告することもできます。
ひっかけに注意「2週間前」ではなく「20日前」。株式併合も同じく20日前。
効力発生日の20日前の日から前日まで
事業譲渡・合併・会社分割・株式交換や、端数が出る株式併合に反対する株主は、この期間内に会社へ公正な価格での買取りを請求できます。会社から出ていく機会を少数株主に保障する制度です。請求の撤回には会社の承諾が必要です。
ひっかけに注意「効力発生日から20日以内」は誤り。期間は効力発生日の前に終わる。簡易手続では原則請求できない。
効力発生日から30日経過後の30日以内
買取価格は株主と会社の協議で決めますが、効力発生日から30日以内に協議が調わないときは、その期間の満了後30日以内に、株主または会社が裁判所に価格の決定を申し立てられます。価格の争いを長引かせないための期限です。
ひっかけに注意譲渡承認を拒んだ場合の売買価格の申立期限(通知から20日以内)と混同しない。
出典:会社法
これを下回れない1か月以上
合併や会社分割では債務が債権者の同意なく移るため、官報公告と知れている債権者への個別の催告を行い、1か月以上の異議申述期間を設けます。異議を述べた債権者には弁済や担保提供をします。官報に加え日刊新聞紙か電子公告で公告すれば個別催告を省けます。
ひっかけに注意吸収分割の不法行為債権者への個別催告は省略できない。事業譲渡には債権者保護手続はない。
通知・公告等の日と比べて早い日株主総会の日の2週間前の日
合併・会社分割・株式交換をする会社は、契約の内容などを書いた書面を本店に備え置き、株主や債権者が見られるようにします(事前開示)。開始日は株主総会の日の2週間前の日か、株主への通知・公告や債権者への公告・催告の日のうち早い日です。
ひっかけに注意総会決議を要しない場合で通知等もないときは、契約締結の日から2週間を経過した日が開始日。
出典:会社法
経過する日まで効力発生日後6か月
事前開示書面は効力発生日後6か月を経過する日まで備え置きます(吸収合併の消滅会社は効力発生日まで)。効力発生後に作る事後開示書面も効力発生日から6か月間備え置きます。株主や債権者が無効の訴えを起こすか判断できるようにするためです。
ひっかけに注意6か月は無効の訴えの提訴期間と対応している。1年や2週間とする選択肢に注意。
訴えをもってのみ主張効力発生日から6か月以内
組織再編に手続の誤りがあっても、いつまでも無効を主張できると取引の安全が害されるため、無効は効力が生じた日から6か月以内に訴えでしか主張できません。合併・会社分割・株式交換・株式移転・株式交付に共通です。
ひっかけに注意非公開会社の株式発行の無効の訴えは「1年以内」で、6か月ではない点と区別する。
出典:会社法
本店所在地で2週間以内
役員の交代、商号変更、本店移転など登記した事項が変わったら、2週間以内に本店所在地で変更の登記をします。株式譲渡のクロージング後に旧経営者が退任し新役員が就任する場合に、この期限が問題になります。登記の後でなければ善意の第三者に対抗できません。
ひっかけに注意1か月以内とする選択肢は誤り。役員変更登記の遅れも法務DDの確認事項。
出典:会社法
本店所在地で効力発生日から2週間以内
吸収合併・吸収分割の効力は契約で定めた効力発生日に生じ、その日から2週間以内に登記をします(吸収合併は消滅会社の解散登記と存続会社の変更登記)。新設合併・新設分割は、設立の登記をした日に効力が生じる点が異なります。
ひっかけに注意吸収型は登記の日ではなく効力発生日に効力が生じる。新設型は設立登記で成立する。
出典:会社法、中小M&A専門人材(個人)向け 使命、倫理・行動規範、知識スキルマップ(2025年4月、2026/10/13誤植修正) p.157
定款で短縮可請求の日から2週間以内
譲渡制限株式の譲渡承認を請求されたのに、会社が2週間以内に承認するかどうかを通知しないと、承認したものとみなされます。会社が放置して株主が株式を売れなくなるのを防ぐためです。株式譲渡のクロージング前に承認を得る場面で使います。
ひっかけに注意不承認後の買取りの通知期限「40日」と入れ替えない。会社と請求者の合意で別段の定めも可。
出典:会社法
定款で短縮可不承認の通知の日から40日以内
会社が譲渡を承認しないときは、会社か指定買取人が株式を買い取らなければなりません。不承認の通知から40日以内に会社が買取りの通知をしないと、原則として譲渡を承認したものとみなされます。指定買取人の場合は10日以内です。
ひっかけに注意承認の決定通知の期限「2週間」と入れ替えない。
出典:会社法
買取りの通知から20日以内
会社や指定買取人が株式を買い取る場合の価格は当事者の協議で決めますが、買取りの通知から20日以内に裁判所へ価格決定を申し立てられます。期間内に申立てがなく協議も調わないときは、1株当たり純資産額に株式数を掛けた額になります。
ひっかけに注意反対株主の買取請求の価格申立て(効力発生日から30日経過後30日以内)と混同しない。
出典:会社法
定款の定めが必要相続等を知った日から1年以内
定款に定めがあれば、会社は相続などで譲渡制限株式を取得した者に、株式を会社へ売り渡すよう請求できます。株式の分散を防ぐ制度ですが、相続等を知った日から1年を過ぎると請求できません。請求の都度、株主総会の特別決議が必要です。
ひっかけに注意オーナーの相続時に少数株主側から使われるリスクもある。決議は普通決議ではなく特別決議。
出典:会社法
定款で引上げ可、完全子法人分を含む総株主の議決権の10分の9以上
議決権の10分の9以上を持つ特別支配株主は、株主総会決議なしに、対象会社(取締役会設置会社は取締役会)の承認を得て、他の株主全員に株式の売渡しを請求できます。少数株主を締め出して100%子会社にするスクイーズアウトで使います。
ひっかけに注意9割未満なら株式併合(特別決議)を使う。売渡請求は株主総会決議が不要な点に注意。
出典:会社法
会社法の原則5年以上
会社からの通知や催告が5年以上続けて届かず、かつ5年間続けて配当を受け取っていない株主の株式は、競売や裁判所の許可を得た売却、会社による買取りができます。所在不明の株主がいると全株式の譲渡ができないため、M&Aの前に整理します。
ひっかけに注意経営承継円滑化法の特例(都道府県知事の認定)を受けると「1年」に短縮できる。
当事者の別段の意思表示がない限り譲渡の日から20年間
事業を譲渡した会社は、特約がなくても、同じ市町村と隣接する市町村の区域内で、譲渡の日から20年間は同一の事業を行えません。譲り受けた事業の価値を守るためです。最終契約で競業避止の範囲や期間を別に定めるのが一般的です。
ひっかけに注意株式譲渡で株式を売った株主には適用されない。特約の上限「30年」と入れ替えない。
出典:会社法
この期間内に限り有効譲渡の日から30年
譲渡会社が同一の事業を行わない特約を結んだ場合、その特約は事業を譲渡した日から30年の期間内に限り効力があります。長すぎる競業禁止で譲渡会社の営業の自由を縛りすぎないための上限です。不正の競争の目的での同一事業は期間に関係なく禁止です。
ひっかけに注意法定の競業禁止「20年」と入れ替えない。特約は期間の制限なく有効、は誤り。
出典:会社法
承継財産の価額が限度知った時から2年・効力発生日から10年
債権者を害すると知りながら事業を譲渡した場合、残された債権者は、承継した財産の価額を限度に譲受会社へ直接履行を請求できます。害することを知って譲渡したと知った時から2年以内に請求しないと消え、効力発生日から10年でも消えます。詐害的な会社分割も同じです。
ひっかけに注意請求の上限は債権全額ではなく承継財産の価額。譲渡会社に破産手続等が始まると請求できない。
総株主の半数以上かつ議決権の4分の3以上
旧有限会社が株式会社として存続している特例有限会社では、特別決議に総株主の半数以上かつ総株主の議決権の4分の3以上の賛成が必要です。通常の株式会社より厳しいため、少数株主からの株式取得(スクイーズアウト)や定款変更が難しくなることがあり、法務DDで確認します。
ひっかけに注意通常の株式会社の特別決議(出席株主の議決権の3分の2以上)と数字を入れ替えない。
出典:中小M&A専門人材(個人)向け 使命、倫理・行動規範、知識スキルマップ(2025年4月、2026/10/13誤植修正) p.115
企業結合集団の合計国内売上高合計額200億円超
大きな会社による株式取得が競争を損なわないか事前に審査するため、取得する会社の企業結合集団(親会社・子会社を含むグループ)の国内売上高合計額が200億円を超える場合は、公正取引委員会への事前届出の対象になります。対象会社側の基準(50億円超)と議決権割合の基準も同時に満たす必要があります。
ひっかけに注意200億円は「以上」でなく「超」。取得会社が180億円なら対象会社が大きくても届出不要。
対象会社と子会社の合計国内売上高合計50億円超
株式を取得される会社(株式発行会社)とその子会社の国内売上高の合計が50億円を超えることも届出の要件です。中小企業同士のM&Aでは多くがこの基準を下回るため届出は不要ですが、競争を実質的に制限する株式取得の禁止そのものは規模に関係なく適用されます。
ひっかけに注意事業譲受けの相手方基準は30億円で、株式取得の50億円と異なる。
取得によって新たに超えるとき20%超・50%超
売上高の基準を満たす株式取得のうち、取得後の議決権保有割合が20%以下から20%を超えるとき、または50%以下から50%を超えるときに届出が必要です。影響力が大きく変わる2つの段階で審査する仕組みです。
ひっかけに注意15%への取得は届出不要。50%超だけでなく20%超の段階もある。
公取委は短縮可届出受理の日から30日
届出をした会社は、届出が受理された日から30日を経過するまで株式取得を実行できません(禁止期間)。公正取引委員会が審査する時間を確保するためで、合併・会社分割・事業譲受けなどにも準用されます。クロージング日はこの期間を考えて決めます。
ひっかけに注意外為法の事前届出の待機期間も30日で混同しやすい。届出は実行の前に行う(事後ではない)。
いずれか遅い日まで受理から120日または報告等受理から90日
公正取引委員会が届出会社に追加の報告や資料を求めた場合、問題のある企業結合に排除措置を命じる前提となる事前通知の期間が延び、届出受理から120日を経過した日と、全ての報告等を受理してから90日を経過した日のいずれか遅い日までとなります。
ひっかけに注意待機期間(30日)そのものとは別の、審査が長引く場合の期間。
国内売上高合計額一方200億円超・他方50億円超
合併する会社のうち1社の国内売上高合計額が200億円を超え、他の1社が50億円を超える場合は、合併前に公正取引委員会へ届け出ます。共同株式移転も同じ基準です。ただし、すべての当事会社が同じ企業結合集団に属するグループ内の合併は届出不要です。
ひっかけに注意グループ内再編でも売上高基準を満たせば届出が必要、は誤り。届出は合併前に行う。
国内売上高譲受会社200億円超・譲渡対象30億円超
譲り受ける会社の国内売上高合計額が200億円を超え、譲り受ける事業(全部の場合は譲渡会社、重要部分の場合は対象部分)の国内売上高が30億円を超える場合は、あらかじめ届け出ます。事業譲渡では対象の基準が株式取得より低い点が特徴です。
ひっかけに注意相手方の基準を株式取得・合併と同じ50億円とする選択肢は誤り。
直接・間接の保有の合計議決権の50%以上
外国為替及び外国貿易法(外為法)では、非居住者の個人や外国法人だけでなく、それらが直接・間接に議決権の50%以上を持つ国内の会社も外国投資家に当たります。外国投資家が非上場会社の株式を取得すると対内直接投資等になり、業種によって事前届出が必要です。
ひっかけに注意国内の会社でも外資が50%以上を持てば外国投資家になる。過半数(50%超)ではなく50%以上。
審査不要と認めれば短縮可届出受理の日から30日
指定業種などの対内直接投資等をする外国投資家は、事前に財務大臣と事業所管大臣に届け出て、受理の日から30日を経過するまで実行できません。外資系ファンドや外国企業が譲り受け側となる中小M&Aでも、対象会社の業種によってはこの期間をスケジュールに組み込みます。
ひっかけに注意届出先は財務大臣と事業所管大臣で、公正取引委員会ではない。2週間ではなく30日。
審議会が申し出れば5か月受理日から4か月
国の安全などに関わるか審査する必要があると認めるときは、実行できない期間を届出受理の日から4か月まで延長できます。関税・外国為替等審議会が4か月内に意見を述べるのが難しいと申し出た場合は5か月になります。審査の結果、内容の変更や中止を勧告されることもあります。
ひっかけに注意延長の上限を「1年」とする選択肢は誤り。通常の待機期間は30日。
会社関係者でなくなった後1年以内
上場会社の役員・従業員や、契約の交渉をしている相手方(M&Aの交渉相手やFA・仲介者を含みうる)は、未公表の重要事実を知ったまま株式を売買できません。会社関係者でなくなった後も1年以内は同じ規制を受けます。上場会社が譲り受け側となる中小M&Aでも関係します。
ひっかけに注意退職・契約終了で直ちに規制が外れるわけではない。重要事実の伝達を受けた者も規制対象。
出典:金融商品取引法
または併科5年以下の拘禁刑・500万円以下の罰金
未公表の重要事実を知って株式を売買した場合などは、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金、またはその両方が科されます。課徴金の対象にもなります。M&Aの情報は秘密保持契約で共有範囲を限り、厳しく管理する必要があります。
ひっかけに注意利益を得させる目的での重要事実の伝達や取引の推奨も禁止されている。
著しく少数の者からの買付け等を除く買付け後の株券等所有割合5%超
有価証券報告書を出す会社の株券等を取引所市場の外で買い付け、買付け後の所有割合が5%を超える場合は、原則として公開買付け(TOB:買付けの条件を公告して広く株主から買う手続)が必要です。非上場で有価証券報告書の提出義務もない中小企業の株式譲渡には原則として適用がありません。
ひっかけに注意著しく少数の者からの買付けなら5%超でも不要だが、3分の1超になる場合は必要。
出典:金融商品取引法
基準日時点の条文株券等所有割合3分の1超
少数の株主から相対で買う場合は原則として公開買付けは不要ですが、買付け後の株券等所有割合が3分の1を超える場合は公開買付けが必要です。会社の重要事項を否決できる支配権の移動に、ほかの株主も売却の機会を得られるようにするためです。
ひっかけに注意基準は「3分の1以上」ではなく「3分の1超」。数字だけでなく以上・超の違いも問われる。
出典:金融商品取引法
知った時から3年・行為開始から20年
営業秘密を不正に使い続ける者に対する差止請求権は、営業秘密の保有者がその事実と行為者を知った時から3年間行使しないと時効で消滅し、行為の開始の時から20年を経過したときも消滅します。M&Aの検討で開示した技術情報などが不正に使われた場面で問題になります。
ひっかけに注意民法の不法行為の消滅時効(知った時から3年・不法行為の時から20年)と数字が同じで混同しやすい。
出典:不正競争防止法
原則少なくとも30日前
使用者が労働者を解雇するときは、生活の準備期間を与えるため、少なくとも30日前に予告しなければなりません。天災事変などで事業の継続が不可能になった場合や、労働者の責めに帰すべき事由による解雇は例外で、行政官庁の認定が必要です。M&A前後の人員整理で問題になります。
ひっかけに注意予告をしても解雇権の濫用(労働契約法16条)に当たれば無効。予告さえすれば有効ではない。
出典:労働基準法
30日分以上の平均賃金
30日前に予告しないで解雇する場合は、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりません。即日解雇なら30日分が必要です。予告と手当は組み合わせることができます。
ひっかけに注意手当を払えば解雇が有効になるわけではない。事業譲渡の承継を承諾しないことだけを理由とする解雇は不可。
出典:労働基準法
1日分につき1日短縮
解雇予告の日数は、平均賃金を1日分支払うごとに1日短縮できます。たとえば解雇日の10日前に予告した場合は、足りない20日分の平均賃金を支払えば労働基準法の要件を満たします。
ひっかけに注意10日前の予告なら必要なのは30日分ではなく「20日分」。予告日数と手当の日数の合計が30日。
出典:労働基準法
事業場ごと常時10人以上
常時10人以上の労働者を使う使用者は、労働時間・賃金・退職などを定めた就業規則を作って行政官庁(労働基準監督署)に届け出なければなりません。作成・変更には労働者の過半数で組織する労働組合か過半数代表者の意見を聴きます。法務DDで就業規則がないと法令違反の例になります。
ひっかけに注意過半数労働組合等からは「意見を聴く」だけで、同意は不要。
出典:労働基準法、中小M&A専門人材(個人)向け 使命、倫理・行動規範、知識スキルマップ(2025年4月、2026/10/13誤植修正) p.121
当分の間(本則は5年)3年間
未払の残業代などの賃金は、行使できる時から3年たつと時効で請求できなくなります。労働基準法115条の本則は5年ですが、附則143条3項の経過措置で当分の間は3年とされています。労務DDで未払賃金を見積もるときに使います。
ひっかけに注意本則の5年で計算するのは誤り。退職手当は5年、災害補償その他の請求権は2年。
まで総会の日の2週間前の日の前日
会社分割では、労働契約承継法により、承継される事業に主として従事する労働者などに、労働契約が承継されるかどうか等を書面で通知します。株主総会の承認が必要な分割では、承認総会の日の2週間前の日の前日が通知期限日です。労働者が異議を出す機会を確保するためです。
ひっかけに注意総会の承認が不要な分割では、契約締結日・計画作成日から起算して2週間を経過する日が期限。
少なくとも13日間
分割会社が異議申出期限日を定めるときは、労働者への通知の日との間に少なくとも13日間を置かなければなりません。主に承継事業に従事するのに承継から外された労働者や、主に従事していないのに承継対象とされた労働者が、書面で異議を出すか考える時間を確保するためです。
ひっかけに注意30日間とする選択肢は誤り。主従事労働者が承継に異議を述べても承継は拒めない。
所得税・復興特別所得税・住民税の合計20.315%
オーナーが自社株を第三者に売ったときの利益(売却額−取得費−譲渡費用)にかかる税率です。他の所得と分けて計算する申告分離課税で、この税率で課税関係が終わります。株式譲渡の手取り額を試算するとき最初に使う数字です。
ひっかけに注意事業譲渡の対価を配当で受け取る場合の総合課税(最高55.945%)と混同しない。
復興特別所得税を除く所得税15%+住民税5%
20.315%のうち、国の所得税が15%、地方の住民税が5%(道府県民税2%・市町村民税3%)です。所得税の部分にだけ復興特別所得税が上乗せされるため、所得税側は合わせて15.315%になります。
ひっかけに注意所得税と住民税を逆(5%と15%)にした選択肢に注意。
基準所得税額(所得税額)に掛ける2.1%
東日本大震災の復興財源として所得税額に上乗せされる税です。所得税15%×2.1%=0.315%なので株式譲渡益は20.315%、源泉徴収20%は20.42%になります。所得金額ではなく所得税額に掛ける率です。
ひっかけに注意0.315%は15%に2.1%を掛けた結果。基準日後、令和9年以後は1.1%+防衛特別所得税1%(合計は同じ)。
出典:東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法、国税庁タックスアンサー No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得)
各年分の所得税(基準日時点の法令)平成25年〜令和19年
復興特別所得税は期間限定の税で、平成25年から令和19年までの各年分の所得税にかかります。この期間に受け取る株式譲渡益・配当・退職金などには、所得税と一緒に上乗せされると考えます。
ひっかけに注意国税庁の現在の案内は、基準日後の令和8年度改正で延長された「令和29年まで」の表示。基準日時点は令和19年。
出典:東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法、国税庁タックスアンサー No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
所得税20%+復興特別所得税20.42%
会社が配当を払うときは、支払額から所得税を差し引いて(源泉徴収)国に納めます。非上場株式の配当は所得税20%に復興特別所得税を加えた20.42%で、住民税は差し引きません。徴収した月の翌月10日までに納付します。
ひっかけに注意上場株式等の配当(大口株主等以外)の15.315%+住民税5%と取り違えない。
総合課税(所得税・復興税・住民税)15.105%〜55.945%
事業譲渡では対価が会社に入り、まず法人税等がかかります。それを配当や役員報酬でオーナー個人に渡すと、他の所得と合算する総合課税となり、所得が多いほど税率が上がります。株式譲渡(20.315%)より重くなりやすい理由です。
ひっかけに注意配当で渡しても分離課税20.315%では終わらない。分離課税の役員退職慰労金と組み合わせる検討もある。
同一銘柄ごとに認められる扱い売却代金の5%
相続した株式や昔から持つ株式は、いくらで取得したか分からないことがあります。その場合、売却代金の5%を取得費として譲渡益を計算できます。取得費が小さいほど譲渡益と税額は大きくなります。
ひっかけに注意取得費不明でもゼロにする必要はない。相続・贈与で取得した株式は原則、前の持ち主の取得費を引き継ぐ。
を経過する日までの譲渡相続税の申告期限の翌日以後3年
相続税を払った人が相続した株式を売ると、①払った相続税の一部を取得費に足せる(取得費加算)、②発行会社に売ってもみなし配当とせず全額を譲渡所得にできる、という特例があります。どちらもこの期限内の譲渡が条件です。
ひっかけに注意「10年以内」や「相続開始から3年」は誤り。起点は相続税の申告期限の翌日。
(収入金額−退職所得控除額)に2分の1
退職金は老後の生活資金なので税負担が軽くされています。収入から退職所得控除額を引いた残りの2分の1だけが課税対象で、他の所得と分けて課税されます。株式譲渡と合わせて役員退職金を支給する検討をするのはこのためです。
ひっかけに注意役員等勤続5年以下の特定役員退職手当等には2分の1を掛けない。
80万円に満たなければ80万円40万円×勤続年数
退職金から差し引ける控除額で、勤続年数が長いほど大きくなります。20年以下は1年あたり40万円です。1年未満の端数は1年に切り上げるので、勤続10年2か月なら11年として計算します。
ひっかけに注意20年を超える部分は1年あたり70万円。端数は切捨てではなく切上げ。
800万円+70万円×(勤続年数−20年)
勤続20年までの控除額800万円(40万円×20年)に、20年を超える1年ごとに70万円を加えます。例えば勤続30年なら800万円+70万円×10年=1,500万円です。長く勤めた創業者ほど控除が大きくなります。
ひっかけに注意勤続年数全体ではなく、20年を超えた年数にだけ70万円を掛ける。
役員等として勤めた期間の年数5年以下
役員として短期間だけ在籍して高額の退職金を受け取る節税を防ぐ仕組みです。役員等勤続年数が5年以下の人の、その役員期間分の退職金は、控除後の金額に2分の1を掛けません。買収後に派遣した役員が早く退任する場合などに関係します。
ひっかけに注意4年11か月は切上げで5年となり該当。5年1か月は6年なので該当しない。
出典:国税庁タックスアンサー No.2737 役員等の勤続年数が5年以下の者に対する退職手当等(特定役員退職手当等)、国税庁タックスアンサー No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
分掌変更後の給与の減少おおむね50%以上
社長が退任せず会長や非常勤に退く場合でも、地位や職務が大きく変わり実質的に退職したのと同じなら、退職金として扱えます。その例の一つが、変更後の役員給与がおおむね50%以上減ったことです。
ひっかけに注意給与が半減しても、経営上主要な地位にとどまれば認められない。未払金に計上した退職金も原則対象外。
もらった人(受贈者)ごと年110万円
1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計から110万円を引いた残りに贈与税がかかります。自社株を少しずつ後継者に贈与する暦年贈与では、この枠と税率を見ながら毎年の贈与額を決めます。
ひっかけに注意あげた人ごとではなく、もらった人ごとの枠。2人からもらっても控除は合計で年110万円。
10%〜55%
贈与税も相続税も、課税される金額が大きいほど高い税率がかかり、最低10%から最高55%までです。55%になるのは、贈与税の一般税率で基礎控除後3,000万円超、特例税率で4,500万円超、相続税は法定相続分の取得金額6億円超の部分です。
ひっかけに注意相続時精算課税の贈与税は累進ではなく一律20%。
出典:国税庁タックスアンサー No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)、国税庁タックスアンサー No.4155 相続税の税率
贈与を受けた年の1月1日時点18歳以上
父母や祖父母など直系尊属から、その年1月1日に18歳以上の子や孫が受けた贈与には、一般税率より緩やかな特例税率が使えます。親から成人の後継者への自社株贈与は通常こちらで計算します。
ひっかけに注意兄弟間・夫婦間や18歳未満への贈与は一般税率。令和4年3月31日以前の贈与は20歳以上。
贈与を受けた年の翌年翌年2月1日〜3月15日
贈与税は財産をもらった人(受贈者)が、もらった年の翌年2月1日から3月15日までに申告して納めます。相続時精算課税を選ぶときも、この期間内に選択の届出書を出します(申告書を出すときは添付)。
ひっかけに注意相続税の「10か月以内」と混同しない。申告するのはあげた人ではなく、もらった人。
出典:国税庁タックスアンサー No.4429 贈与税の申告と納税、国税庁タックスアンサー No.4103 相続時精算課税の選択
その年1月1日時点(原則)60歳以上→18歳以上
相続時精算課税は、原則60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の子・孫(推定相続人である直系卑属または孫)への贈与で選べます。生前にまとまった財産を渡し、相続のときに精算する制度です。
ひっかけに注意事業承継税制の特例措置と併用する場合は、推定相続人以外の18歳以上の者への贈与も対象。
出典:国税庁タックスアンサー No.4103 相続時精算課税の選択、非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和7年5月・令和7年7月更新、国税庁)抄録
同じ贈与者(特定贈与者)ごと累計2,500万円
相続時精算課税では、毎年の基礎控除110万円(令和6年以後の贈与)を引いた後、同じ贈与者からの贈与について累計2,500万円までは贈与税がかかりません。超えた部分は一律20%で、相続のときに相続財産に足し戻して精算します。
ひっかけに注意毎年2,500万円ではなく累計。精算課税の年110万円以下の部分は相続財産に加算しない。
一律20%
特別控除2,500万円を超えた部分には、金額にかかわらず一律20%の贈与税がかかります。払った贈与税は相続税から差し引かれます。一度選ぶと、その贈与者からの贈与は暦年課税に戻せません。
ひっかけに注意暦年課税の10%〜55%の累進税率と混同しない。翌年から暦年課税に選び直すことはできない。
令和6年以後の贈与から段階的に適用相続開始前7年以内
亡くなる直前の贈与で相続税を減らすことを防ぐため、相続で財産を取得した人が受けた暦年課税の贈与は、一定期間分を相続財産に足し戻します。令和5年度改正で3年から7年に延ばされました。払った贈与税は相続税から差し引きます。
ひっかけに注意基準日時点は経過措置中で、令和8年12月31日までの相続開始なら加算期間は3年。7年が満額になるのは令和13年以後。
相続開始前3年以内の分以外の合計から合計100万円
加算期間を7年に延ばした際の負担緩和として、相続開始前3年より前(延長部分)に受けた贈与は、その合計額から100万円を差し引いた残りだけを相続財産に加算します。直前3年以内の贈与は全額加算です。
ひっかけに注意1年ごとに100万円ではなく、延長部分の合計から総額100万円。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
遺産の合計(課税価格の合計額)がこの額以下なら相続税はかからず、原則として申告も不要です。法定相続人が配偶者と子2人の3人なら4,800万円です。後継者が自社株を相続する場合の税額試算の出発点になります。
ひっかけに注意相続放棄した人も人数に含める。養子は実子がいれば1人、いなければ2人まで数える。
相続開始を知った日の翌日から10か月以内
相続税は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に、申告と納税の両方を行います。提出先は亡くなった人の住所地の税務署です。自社株の評価や納税資金の準備も、この期限に間に合わせる必要があります。
ひっかけに注意贈与税の「翌年2月1日〜3月15日」と混同しない。提出先は相続人ではなく被相続人の住所地の税務署。
23.2%
会社の所得(益金−損金)に掛ける法人税の基本の税率です。資本金1億円超の会社の所得や、中小法人の年800万円を超える所得部分に使います。地方法人税・住民税・事業税は別にかかります。
ひっかけに注意「30%」は誤り。法人税だけの税率で、地方税などを含めた負担率ではない。
出典:法人税法
令和9年3月31日までに開始する事業年度15%(本則19%)
期末資本金1億円以下の会社は、所得のうち年800万円以下の部分に軽い税率が使えます。法人税法本来は19%ですが、租税特別措置法で15%に下げられています。800万円を超える部分は23.2%です。
ひっかけに注意所得全額ではなく年800万円以下の部分だけ。所得が年10億円を超える事業年度は17%。
事業年度終了の日の翌日から2か月以内
会社は事業年度が終わった翌日から2か月以内に、株主総会で承認された確定した決算に基づいて申告書を出します(確定決算主義)。M&Aで決算期をまたぐときの申告や納税のスケジュールに関わります。
ひっかけに注意清算中に残余財産が確定した事業年度は1か月以内。相続税の10か月と混同しない。
出典:法人税法
帳簿閉鎖の時から10年間
株式会社は、会計帳簿と事業に関する重要な資料を、帳簿を閉じた時から10年間保存しなければなりません。財務DD(財務の調査)で過去の資料をさかのぼって確かめる場面にも関わります。
ひっかけに注意法人税法上の帳簿の保存期間は原則7年。会社法の10年と取り違えない。
その効果の及ぶ期間20年以内
買収価格が受け入れた純資産の時価を上回る部分がのれんです。日本の企業結合会計基準では、20年以内の効果が及ぶ期間にわたり定額法などで規則的に償却します。金額に重要性が乏しければ発生年度の費用にできます。
ひっかけに注意IFRS(国際会計基準)では償却しない。税務の資産調整勘定(5年均等)と混同しない。
企業結合日以後1年以内
買収価格を、受け入れた資産・負債(顧客関連資産や商標など識別できる無形資産を含む)の時価に割り振る作業がPPA(Purchase Price Allocation、取得原価の配分)です。1年以内に配分を終え、それまでは暫定的な会計処理をします。
ひっかけに注意「5年以内」は誤り。配分の基礎は帳簿価額ではなく企業結合日の時価。
その100%子法人が対象外5億円以上
資本金1億円以下の会社でも、資本金5億円以上の大法人に100%保有されると、軽減税率・欠損金の全額控除・交際費の定額控除などの中小企業向け特例が使えなくなります。大企業がM&Aで100%子会社にすると税負担が変わります。
ひっかけに注意子会社自身の資本金だけでなく、親会社の資本金も見る。
出典:国税庁タックスアンサー No.5800 一定の大法人等の100%子法人等における中小企業向け特例措置の不適用について
負債利子相当額を控除した額が不算入3分の1超
会社が他の会社から受け取る配当は、二重課税を避けるため一部または全部が益金(課税される収益)に入りません。3分の1超を持つ関連法人株式等の配当は、負債利子相当額を引いた額が益金不算入です。
ひっかけに注意負債利子にかかわらず全額不算入は、完全支配関係のある完全子法人株式等(100%)の場合。
出典:法人税法
5%超3分の1以下・5%以下の保有50%・20%
保有割合が小さいほど、配当のうち益金に入れない割合が下がります。5%超3分の1以下の「その他の株式等」は50%、5%以下の「非支配目的株式等」は20%が益金不算入です。法人株主が自己株式の取得で受けるみなし配当も対象です。
ひっかけに注意5%以下を50%とする入れ替えに注意。
出典:法人税法
地方消費税は消費税額の78分の2210%(国7.8%+地方2.2%)
消費税の標準税率10%は、国の消費税7.8%と地方消費税2.2%の合計です。事業譲渡では建物・機械・のれんなど課税資産の対価に消費税がかかるため、譲渡価額の内訳を区分して計算します。
ひっかけに注意土地や株式などの有価証券の譲渡は非課税取引。株式譲渡には消費税がかからない。軽減税率8%は国6.24%+地方1.76%。
出典:国税庁タックスアンサー No.6303 消費税および地方消費税の税率、国税庁タックスアンサー No.6201 非課税となる取引
基準期間=法人は原則前々事業年度1,000万円以下
2期前(基準期間)の課税売上高が1,000万円以下の事業者は、原則として消費税を納めなくてよい免税事業者です。ただしインボイス(適格請求書発行事業者)の登録をしている場合などは免除されません。
ひっかけに注意特定期間(前事業年度の開始後6か月)の課税売上高が1,000万円超でも免除されない。給与等の支払額で判定してもよい。
第5号文書(定額)1通4万円
会社法の合併契約・吸収分割契約・新設分割計画を書面で作ると、金額にかかわらず1通4万円の印紙税がかかります。株式会社設立時の定款の原本(第6号文書)も4万円です。
ひっかけに注意事業譲渡契約書は第5号ではなく第1号文書(営業の譲渡)で、契約金額に応じた税額。株式交換契約書・株式移転計画書は第5号に含まれない。
契約期間3か月以内で更新の定めがないものを除く1通4千円
特約店契約書・代理店契約書・業務委託契約書など、特定の相手と継続して取引する基本となる契約書は第7号文書で、1通4千円です。M&Aの前後で結び直す取引基本契約などで関係します。
ひっかけに注意4万円(第5号)と4千円(第7号)を取り違えない。
記載された受取金額5万円未満
領収書など金銭の受取書は第17号文書で、受取金額5万円未満は非課税です。株式譲渡契約書は一般に非課税文書ですが、代金を受け取った旨を書くと第17号文書(金銭の受取書)となり、収入印紙が必要になります。
ひっかけに注意株式譲渡契約書は第1号文書ではない。代金受領の記載の有無で課税・非課税が変わる。
不動産の価額に掛ける1,000分の4(0.4%)
合併では不動産も包括的に移るため、所有権移転登記の税率は相続と同じ1,000分の4と低く、不動産取得税もかかりません。不動産を多く持つ事業を移すスキームを比べるときに使う数字です。
ひっかけに注意会社分割は合併と違い1,000分の20。所有権の保存登記も1,000分の4。
出典:登録免許税法
相続・合併以外の原因による移転1,000分の20(2%)
売買・贈与・事業譲渡・会社分割など、相続・合併以外の原因による所有権移転登記は1,000分の20です。会社分割は包括承継ですが、合併と同じ低い税率にはなりません。
ひっかけに注意土地の売買は措置法で1,000分の15に軽減(基準日時点の期限は令和8年3月31日。基準日後に令和11年3月31日まで延長)。
固定資産課税台帳の価格に4%
不動産を取得した人に都道府県がかける税です。事業譲渡で事務所や工場など住宅でない建物を取得すると原則4%がかかります。合併による取得は非課税で、会社分割も一定の要件を満たせば非課税です。
ひっかけに注意国税ではなく道府県税。納めるのは売り手ではなく取得した人。
令和9年3月31日までの取得3%
住宅と土地の取得には特例で標準税率が4%から3%に下がります。住宅でない事業用の建物は4%のままなので、事業譲渡での取得税は土地と建物を分けて計算します。
ひっかけに注意非住宅の建物も3%とする選択肢は誤り。
出典:地方税法
令和9年3月31日までの取得価格の2分の1
宅地として評価される土地を取得したときは、課税標準(税率を掛ける元の金額)を固定資産課税台帳の価格の2分の1にできます。土地の税率3%と組み合わせると、価格の1.5%相当になります。
ひっかけに注意2分の1は税率ではなく課税標準の特例。建物には使えない。
出典:地方税法
平成30年4月1日以後開始の事業年度の分10年
赤字(欠損金)は翌期以降の黒字と相殺でき、税負担を減らせます。繰り越せるのは10年です。買収する会社の繰越欠損金は将来の節税効果を生むため、税務DD(税務の調査)で金額・期限・使用制限を確かめます。
ひっかけに注意平成30年4月1日前に開始した事業年度の欠損金は9年。「5年」は誤り。
中小法人等は所得の全額まで所得の50%
大きな会社は、繰越欠損金を使っても、その年の所得の50%までしか相殺できません。中小法人等は所得の全額まで使えます。大法人の100%子会社になると中小法人等から外れ、50%に制限されます。
ひっかけに注意資本金1億円以下でも、大法人の100%子法人は50%に制限される。
用語集:繰越欠損金要点:スキームの初期的な検討(税務上の留意事項)
出典:法人税法、国税庁タックスアンサー No.5800 一定の大法人等の100%子法人等における中小企業向け特例措置の不適用について
当初計上額÷60×その年度の月数60か月(5年)で均等
事業譲受けなどで、払った対価が受け入れた資産・負債の時価純額を上回る部分は資産調整勘定(税務上ののれん)となり、5年で均等に損金になります。会計上ののれんと違い、期間は法律で決まっていて会社は選べません。
ひっかけに注意会計上ののれんは20年以内で効果の及ぶ期間。対価が下回るときの差額負債調整勘定も5年で益金。
用語集:資産調整勘定要点:スキームの初期的な検討(税務上の留意事項)
出典:法人税法
直接・間接の保有50%超
一の者(個人を含む)が会社の発行済株式等の50%超を持つ関係を支配関係といいます。合併・分割を税務上の適格とする要件や、欠損金の引継ぎ・使用の制限を判定するときに使います。
ひっかけに注意50%ちょうどは支配関係に当たらない。買収後の欠損等法人の判定(特定支配関係)も50%超。
自己株式を除く100%(発行済株式等の全部)
一の者が発行済株式等の全部を直接・間接に持つ関係です。グループ法人税制や、要件の少ない適格再編の判定に使います。個人オーナーが100%持つ兄弟会社同士も完全支配関係です。
ひっかけに注意一の者には個人も含む。ただしグループ内の寄附金・受贈益の扱いは法人による完全支配関係に限る。
引き続き業務に従事する見込みおおむね80%以上
支配関係(50%超)グループ内の再編や、共同事業を行うための再編を適格(帳簿価額で引き継ぎ、課税を繰り延べ)とするには、移る従業者のおおむね80%以上が引き続き業務に従事する見込みが必要です。
ひっかけに注意完全支配関係(100%)グループ内の再編では、この要件は原則不要。
又は特定役員の引継ぎおおむね5倍以内
支配関係のない会社同士の合併などを適格にする共同事業要件の一つです。売上や従業者数、資本金などの規模の差がおおむね5倍を超えないこと、または双方の社長などの特定役員が合併後の会社の特定役員になる見込みが必要です。
ひっかけに注意「3倍」や「主要な取引先の引継ぎ」とする選択肢は誤り。
用語集:共同事業要件要点:スキームの初期的な検討(税務上の留意事項)
出典:法人税法施行令
合併事業年度開始日の5年前の日から5年
欠損金を目当てにした買収・合併を防ぐため、支配関係ができてから5年たたずに合併すると、共同事業要件などを満たさない限り、支配関係前の欠損金の引継ぎ・使用が制限されます。設立以来の支配関係なら制限はありません。
ひっかけに注意適格合併でも常に全額引き継げるわけではない。非適格合併では欠損金は引き継げない。
用語集:繰越欠損金要点:スキームの初期的な検討(税務上の留意事項)
出典:法人税法
50%超を取得された日から特定支配日から5年以内
赤字会社の株式の50%超を取得した後5年以内に、旧事業をすべてやめて旧事業規模のおおむね5倍を超える借入れをするなどの事由があると、それ以前の欠損金が使えなくなります。欠損金を買う目的のM&Aを防ぐ規定です。
ひっかけに注意100%取得に限らず50%超で対象。合併しなくても、買収後の事業の入替えで制限がかかる。
中小M&Aガイドラインのサンプル過去7年間
売り手が「対象会社は法人税などの税金と社会保険料などを適法・適正に申告し、期限どおり納付している」と保証する条項です。中小M&Aガイドラインの契約書サンプルでは過去7年間が対象とされています。違反が見つかれば補償の対象になります。
ひっかけに注意「過去3年間」や「社会保険料は対象外」とする選択肢は誤り。
70人以上
非上場株式を相続・贈与で評価するときは、まず会社を大会社・中会社・小会社に分けます。従業員70人以上なら業種や資産規模にかかわらず大会社です。70人未満は総資産価額(と従業員数)と取引金額の基準で判定します。
ひっかけに注意従業員5人以下の会社は、総資産価額の基準では小会社側に判定される。
中会社の中の規模に応じて0.90・0.75・0.60
中会社の株式は、類似業種比準価額と純資産価額を組み合わせて評価します(併用方式)。類似業種比準価額に掛ける割合Lは、中会社の中でも規模が大きいほど高く、0.90・0.75・0.60の3段階です。残りの割合には純資産価額を使います。
ひっかけに注意類似業種比準方式の斟酌率(0.7・0.6・0.5)と混同しない。
大0.7・中0.6・小0.5
類似業種比準方式は、上場している類似業種の株価を基に、配当・利益・純資産(帳簿価額)の3要素を比べて評価する方法です。非上場株式は換金しにくいため、計算結果に会社規模ごとの斟酌率を掛けて割り引きます。
ひっかけに注意大会社ほど上場会社に近いとみて掛け目が大きい(0.7)。中会社のLの割合(0.90など)と混同しない。
出典:財産評価基本通達(第1章総則・取引相場のない株式の評価 抜粋)、国税庁タックスアンサー No.4638 取引相場のない株式の評価
50円に換算して比べる50円
会社によって1株の大きさが違うため、類似業種比準方式では1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の配当・利益・純資産で類似業種と比べ、最後に実際の1株の大きさに換算し直します。
基準日時点(基準日後は38%)37%
純資産価額方式は、会社の資産を相続税評価額に置き直して1株の価値を出す方法です。含み益(評価差額)は会社を清算すれば法人税等がかかるため、その税相当額として評価差額の37%を差し引きます。
ひっかけに注意令和8年4月1日以後の相続・遺贈・贈与で取得した財産の評価からは38%(防衛特別法人税の創設による。基準日後の改正)。
出典:国税庁「財産評価基本通達の一部改正について(法令解釈通達)」令和8年3月25日 課評2-28ほか(純資産価額方式の法人税額等相当額 37%→38%)、国税庁「財産評価基本通達の一部改正について(法令解釈通達)」令和8年3月25日 課評2-28ほか(純資産価額方式の法人税額等相当額 37%→38%)
取得者と同族関係者の議決権の合計50%以下
株式を取得した人とその同族関係者の議決権の合計が50%以下なら、会社を単独で支配できないことを考慮し、1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の80%で評価します。
ひっかけに注意80%評価は純資産価額方式の話。配当還元方式の還元率10%と混同しない。
課税時期前3年以内に取得・新築
会社が直前に不動産を買って株価を下げる対策を防ぐため、課税時期前3年以内に取得・新築した土地等・家屋等は、路線価などの相続税評価額ではなく通常の取引価額で評価します。帳簿価額が取引価額相当なら帳簿価額でもかまいません。
ひっかけに注意3年より前に取得した不動産は原則どおり相続税評価額。
筆頭グループが50%超の会社では50%超30%以上
株主1人とその同族関係者(親族など)の議決権の合計が30%以上なら、そのグループの株主は同族株主です。同族株主が取得した株式は原則的評価方式(類似業種比準方式・純資産価額方式など)で、それ以外の株主は配当還元方式で評価します。
ひっかけに注意筆頭グループが50%超を持つ会社では、50%超のグループだけが同族株主。
取得後の議決権。役員でない者に限る5%未満
同族株主であっても、中心的な同族株主がいる会社で、株式取得後の議決権が5%未満で役員でもない人(申告期限までに役員になる人も除く)は、経営への影響が小さいため配当還元方式で評価できます。
ひっかけに注意役員や役員になる予定の人は、5%未満でも原則的評価方式。
株主1人と同族関係者の合計15%未満
同族株主がいない会社では、株主1人とその同族関係者の議決権の合計が15%未満のグループの株主が取得した株式は、配当還元方式で評価します。
ひっかけに注意同族株主の判定基準(30%以上)と混同しない。
10%
配当還元方式は、少数株主にとって株式の価値は主に受け取る配当にあると考え、1年間の配当金額を10%の利率で割り戻して(配当÷10%)株式の価額を出す方法です。原則的評価方式より低くなることが多いです。
ひっかけに注意5%ではない。同族株主以外の株主等が取得した株式に、会社規模にかかわらず使う。
課税時期における経過年数開業後3年未満
開業から3年たっていない会社は、配当・利益の実績が十分でなく類似業種と比べにくいため、原則として純資産価額方式で評価します。直前期末の3つの比準要素(配当・利益・純資産)がいずれもゼロの会社も同じ扱いです。
ひっかけに注意同族株主以外の株主が取得した場合は配当還元方式になる。
中小企業庁令和4年3月
中小PMIガイドラインは、M&A後の統合作業(PMI)の進め方の「型」を中小企業向けに示したもので、会社規模に応じて基礎編と発展編に分かれています。令和6年3月には、これを実践するためのPMI実践ツール(分析ワークシート・アクションプラン・統合方針書)も策定されました。
ひっかけに注意中小M&Aガイドライン初版は令和2年3月。PMI実践ツールの3つ目は「PMIアクションプラン」(チェックリストではない)。
一定の賃上げで1,000万円800万円
事業承継促進枠は、親族内承継や従業員承継をきっかけに経営資源を引き継ぐ予定の中小企業の設備投資などを補助する枠です。上限は原則この額で、申請時から補助事業期間終了までに一定額以上の賃上げをすれば1,000万円に引き上げられます。
ひっかけに注意PMI推進枠の事業統合投資類型も800万円(賃上げで1,000万円)だが、PMI専門家活用類型は150万円。
小規模企業者は800万円以内の部分2/31/2以内
補助率は対象経費のうち補助される割合です。事業承継促進枠は原則2分の1以内ですが、中小企業基本法の小規模企業者に当たる場合は、補助額800万円以内に対応する経費の補助率が3分の2以内に引き上げられます。
ひっかけに注意小規模企業者でも800万円を超える部分(賃上げ時)は1/2以内のまま。
公募申請期日から(未完了なら返還)5年
事業承継促進枠は、これから承継する予定の会社も申請できますが、公募申請期日から5年後までの事業承継対象期間内に承継を終える必要があります。完了しなければ補助金を返すことになるため、承継の見通しを認定経営革新等支援機関等に確認してもらいます。
ひっかけに注意PMI推進枠の「クロージング後1年以内」と混同しない。
2/3以内
専門家活用枠は、M&Aで使うFA・仲介、DDなど専門家の費用を補助する枠です。株式や経営資源を譲り受ける側を支援する買い手支援類型(Ⅰ型)は、対象経費の3分の2以内が補助されます。FA・仲介費用は登録支援機関のものに限られます。
ひっかけに注意売り手支援類型(Ⅱ型)は原則1/2以内(赤字などの場合2/3以内)。買い手と売り手を逆にしない。
赤字・営業利益率低下なら2/3以内1/2以内
事業を譲り渡す側を支援する売り手支援類型(Ⅱ型)は原則2分の1以内です。ただし物価高などで営業利益率が下がっている者や、直近決算期の営業利益か経常利益が赤字の者は3分の2以内に引き上げられます。
ひっかけに注意赤字の売り手は2/3以内。例:対象経費600万円なら補助額は400万円。
DD・廃業費は別に加算600万円
専門家活用枠で補助される金額の上限です。DDを実施する場合は200万円、廃業費は300万円以内を上乗せできます。補助額は「対象経費×補助率」と上限額の小さい方になるので、計算問題では両方を比べます。
ひっかけに注意登録していないFA・仲介業者への費用は対象外なので、対象経費から除いてから計算する。
200万円
DD(買収前の詳細調査)は専門家費用がかさむため、DDを実施する場合は補助上限額600万円にこの額が加算されます。譲り受け側が十分な調査を行うことを後押しする仕組みです。
ひっかけに注意廃業費の上乗せ「300万円以内」と取り違えない。
下回る申請は受け付けない50万円
対象経費に補助率を掛けた額がこの金額を下回る申請は受け付けられません。少額の専門家費用だけでは申請できないということで、申請の可否を判断するときに使います。
ひっかけに注意事業承継促進枠の補助下限は100万円で、専門家活用枠とは異なる。
出典:事業承継・M&A補助金(14次公募)公募要領 専門家活用枠(抄録:p5-21, p64-66)、事業承継・M&A補助金 14次公募のご案内(4枠総合パンフレット)
原則DD費用のみが対象300万円以内
M&Aが期間内に成立しなかった場合でも補助は受けられますが、上限はこの額に下がり、原則としてDD費用だけが対象になります。成立を前提とした成功報酬などは補助されないと理解しておきます。
ひっかけに注意廃業費の上乗せも「300万円以内」だが別の規定。
「100億宣言」を行う中小企業2,000万円
売上高100億円を目指すと宣言(100億宣言)した中小企業が、M&Aで経営資源を譲り受けて成長を図る場合の特例で、12次公募から設けられています。通常の専門家活用枠の上限600万円より大きな専門家費用を補助します。
ひっかけに注意通常の専門家活用枠の上限は600万円。100億企業特例は買い手支援類型だけの特例。
出典:事業承継・M&A補助金(14次公募)公募要領 専門家活用枠(抄録:p5-21, p64-66)、事業承継・M&A補助金 14次公募のご案内(4枠総合パンフレット)
クロージング後1年以内
PMI推進枠は、M&A後の統合作業(PMI)の専門家費用や統合のための設備投資を補助する枠です。対象はM&A成立後の一定期間、具体的にはクロージング後1年以内に行うPMIで、成立前のプレPMIや、その後も続く取組は対象外です。
ひっかけに注意M&A成立前に行うプレPMIとしてのDD費用は、PMI推進枠ではなく専門家活用枠で補助対象とできる場合がある。
補助率1/2以内・下限50万円150万円
PMIの計画づくりなどで専門家を使う費用を補助する類型の上限です。統合に伴う設備投資を補助する事業統合投資類型(上限800万円、賃上げで1,000万円)とは金額の規模が大きく異なるため、どちらの類型かを確認して覚えます。
ひっかけに注意事業統合投資類型の上限800万円と混同しない。2つの類型は同じ公募回で同時に申請できない。
2020年以降に売り手として着手3か月以上
M&Aで事業を譲り渡せなかった人が、廃業して新たな挑戦をするための費用を補助する枠です。単独で申請するには、センターへの相談、M&A支援機関との契約、マッチングサイト登録のいずれかで、売り手として3か月以上M&Aに取り組んだことが条件です。
ひっかけに注意他の枠と併せて申請する併用申請では、この取組期間の条件は適用されない。
補助下限50万円300万円以内・2/3以内
単独申請の場合、廃業登記、在庫の処分、設備の解体、原状回復などにかかる廃業費用について、3分の2以内・300万円以内で補助されます。他の枠と併用する場合の廃業費の補助率は、その枠の補助率(1/2又は2/3)に従います。
ひっかけに注意併用申請の廃業費の補助率は1/2又は2/3で、一律2/3ではない。
直近過去3年分年平均15億円超
資本金や従業員数の基準を満たしていても、申告済みの直近3年分の課税所得の年平均が15億円を超える会社は、事業承継・M&A補助金の対象外です。資本金5億円以上の法人に100%保有される法人も対象外となります。
ひっかけに注意中小企業基本法の定義(資本金・従業員)を満たしても補助対象外となる場合がある。
想定譲渡額5億円×5%2,500万円
FA・仲介費用は原則として相見積が必要ですが、見積額が公募要領のレーマン表で算出される額以下なら相見積を省けます。想定譲渡額5億円なら2,500万円が基準で、これを上回る見積りなら相見積が必要です。
ひっかけに注意このレーマン表は中小企業庁が定めたものではなく参照用。見積額が基準を上回れば相見積が必要。
中小M&A推進計画(令和3年4月)を受けて令和3年8月
中小企業が安心してM&Aに取り組めるよう、中小M&Aガイドラインの遵守を宣言した仲介者・FAを登録する国の制度です。登録しなくても業務はできますが、補助金でFA・仲介費用が補助されるのは登録支援機関の支援に限られます。
ひっかけに注意ガイドライン第3版(令和6年8月)に合わせて始まったのではない。
取消要領(令和5年5月)2年以内
ガイドライン違反や顧客の利益を害する事実、不正な登録、反社会的勢力との関係などがあると、中小企業庁は登録を取り消し、あわせてこの期間を定めて再登録を認めないことができます。悪質な業者を市場から一定期間締め出すための措置です。
ひっかけに注意「1年以内」や「5年以内」ではない。取消しの際は理由を示して通知される。
出典:M&A支援機関登録制度の取消し等に関する要領(令和5年5月15日 中小企業庁財務課)、第4回 中小M&A市場の改革に向けた検討会 資料2(2026/3/17) p.20
前年度の実績報告等を提出1年ごと
登録は一度で終わりではなく、毎年度、前年度(4月1日〜3月31日)の実績報告や活動報告を出して継続申請します。継続申請をしない、報告の不備を直さないと登録は効力を失い抹消されます。登録機関の状況を毎年確認するための仕組みです。
ひっかけに注意成約実績がなければ実績報告ではなく活動報告を出す。虚偽報告は原則として登録取消し。
出典:M&A支援機関登録制度の取消し等に関する要領(令和5年5月15日 中小企業庁財務課)、M&A支援機関登録制度公募要領(令和7年度、令和7年5月30日)抄録:p1,3-11,35-36
令和6年8月現在47都道府県48か所
センターは、親族内承継・従業員承継・M&Aを問わず事業承継の相談に無料で応じる国の公的窓口です。各都道府県に1か所ずつ置かれ、東京都だけは千代田区と立川市の2か所にあるため合計48か所になります。他の支援機関に対するセカンド・オピニオン先にもなります。
ひっかけに注意「47か所」は誤り(東京都のみ2か所)。令和3年4月に事業引継ぎ支援センターと事業承継ネットワークを統合して改組。
平成25年12月策定・公表平成26年2月1日
経営者保証に関するガイドラインは、日本商工会議所と全国銀行協会が事務局の研究会が作った、中小企業団体と金融機関団体共通の自主的なルールです。法人と経営者の分離などができていれば保証を求めない、保証履行時に一定の財産を残せる、などを定めています。
ひっかけに注意法令ではなく法的拘束力のない自主的自律的な準則。特則(令和2年4月1日適用)と日付を混同しない。
出典:中小M&Aガイドライン(第3版)本文 p.23、経営者保証に関するガイドライン(平成25年12月 経営者保証に関するガイドライン研究会)
令和元年12月策定・公表令和2年4月1日
事業承継のときに前経営者と後継者の双方から保証を取る二重徴求を原則禁止し、後継者への保証は承継の妨げになることを考えて慎重に判断するよう求める特則です。同じ時期に改正民法で第三者保証が制限されたことも、前経営者の保証見直しの背景になっています。
ひっかけに注意経営者保証GL本体は平成26年2月1日適用。廃業時の「基本的考え方」は令和4年3月策定。
用語集:事業承継時の経営者保証ガイドラインの特則要点:中小企業政策
出典:中小M&Aガイドライン(第3版)本文 p.23、事業承継支援マニュアル(令和7年度版、令和7年11月 中小企業基盤整備機構)抄録
限定列挙4つ
二重徴求は原則禁止で、例外は①相続確定までなど一時的な場合、②前経営者への多額の貸付金が残り後継者が保証継続を求める場合、③金融支援中・延滞中で多額の資産移転がある場合、④双方が自らの事情で保証提供を申し出た場合の4つに限られます。
ひっかけに注意「事業承継を機に代表が複数になった」だけでは例外に当たらない。例外の拡大解釈は禁止。
出典:事業承継時に焦点を当てた「経営者保証に関するガイドライン」の特則(令和元年12月、令和5年4月改定)、事業承継時に焦点を当てた「経営者保証に関するガイドライン」の特則(令和元年12月、令和5年4月改定)
年齢等に応じて99万円+約100万〜約360万円
早めに事業再生や廃業を決断した経営者が、保証債務の整理後も生活を立て直せるよう、破産でも残せる自由財産99万円に加え、年齢などに応じた一定期間の生計費を残すことを検討します。華美でない自宅に住み続けることも検討対象です。
ひっかけに注意返しきれない保証債務の残額は原則免除。早期の決断を促すための仕組みである点も押さえる。
事業承継を予定する法人等3年以内
事業承継特別保証(令和2年4月開始)は、経営者保証付きの借入を、経営者保証なしの信用保証付き融資に借り換えられる制度です。後継者が保証を嫌って承継が止まることを防ぐ狙いがあり、資産超過やEBITDA有利子負債倍率10倍以内などの財務要件もあります。
ひっかけに注意経済産業大臣の認定は不要(円滑化法の認定が要るのは経営承継借換関連保証)。
無担保保険は8,000万円2億円
都道府県知事の認定を受けた中小企業は、信用保証協会の通常の保証枠とは別に、この額の別枠を使えます。株式や事業用資産の買取資金など承継時に必要な資金を借りやすくする仕組みですが、認定を受けても金融機関の審査があり融資が約束されるわけではありません。
ひっかけに注意通常枠に「上乗せ」される別枠。認定=融資確約ではない。
合意の日から/確認の日からそれぞれ1か月以内
後継者に集めた自社株を遺留分の計算から外す(除外合意)などの合意をしたら、合意の日から1か月以内に経済産業大臣の確認を申請し、確認から1か月以内に家庭裁判所へ申し立てて許可を受けると効力が生じます。後継者が単独で申し立てられるのが利点です。
ひっかけに注意確認するのは経済産業大臣(都道府県知事ではない)、許可するのは家庭裁判所。期限は3か月ではない。
合意対象の株式を除いた議決権で50%超
合意の対象とする株式を除いても、後継者がすでに総議決権の50%を超えて持っている場合は合意できません。もともと単独で過半数を握っているなら、特例を使ってまで遺留分の争いから株式を守る必要がないためです。
ひっかけに注意基準は「合意対象を除いた」議決権。50%ちょうどなら合意できる(50%以下が要件)。
非上場の中小企業者3年以上
民法特例を使えるのは、中小企業者のうち3年以上続けて事業をしている非上場の会社(特例中小会社)です。設立して間もない会社を対象外にし、実際に事業を営んできた会社の承継を支える趣旨です。
ひっかけに注意「1年」「5年」ではない。上場株式・店頭登録株式の発行会社は対象外。
贈与・相続等とも100%
事業承継税制は、後継者が非上場株式を贈与・相続等で取得したときの贈与税・相続税の納税を猶予し、後継者の死亡などで免除する制度です。特例措置では対象株式に係る税額の100%が猶予されます。
ひっかけに注意一般措置は贈与100%・相続等80%。
出典:国税庁タックスアンサー No.4148 非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例等(法人版事業承継税制)、非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和7年5月・令和7年7月更新、国税庁)抄録
総株式数の最大3分の2
一般措置では、納税猶予の対象は総株式数の最大3分の2までです。残りの株式に係る税は通常どおり納めます。特例措置ではこの上限が撤廃され、全株式が対象です。
ひっかけに注意特例措置は全株式。上限の撤廃と猶予割合の100%への引上げが特例の特徴。
出典:国税庁タックスアンサー No.4148 非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例等(法人版事業承継税制)、非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和7年5月・令和7年7月更新、国税庁)抄録
複数の株主から最大3人
特例措置では、先代経営者に限らず複数の株主から、最大3人の後継者が株式を引き継げます。特例後継者は特例承継計画に記載します。兄弟で会社を継ぐような場合に使えます。
ひっかけに注意一般措置も複数の株主から承継できるが、後継者は1人。
出典:国税庁タックスアンサー No.4148 非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例等(法人版事業承継税制)、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則
基準日時点の規則令和8年3月31日
特例措置を使うには、後継者や承継後5年間の経営計画を書いた特例承継計画を、認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けて作り、期限までに都道府県知事の確認を受けます。基準日時点の規則では、基準日と同じ日が期限です。
ひっかけに注意基準日後の令和8年度改正で令和9年9月30日まで延長(国税庁の現在の案内)。贈与・相続等の期限(令和9年12月31日)とも区別する。
出典:中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則、国税庁タックスアンサー No.4148 非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例等(法人版事業承継税制)
平成30年1月1日〜令和9年12月31日
特例措置は10年間の期間限定の制度で、この期間に行われた贈与・相続等が対象です。一般措置には適用期限がありません。
ひっかけに注意特例承継計画の申請期限(基準日時点で令和8年3月31日)と取り違えない。
出典:国税庁タックスアンサー No.4148 非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例等(法人版事業承継税制)、非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和7年5月・令和7年7月更新、国税庁)抄録
雇用の維持承継後5年間平均8割
一般措置では、承継後5年間の平均で、承継時の雇用の8割以上を維持する必要があり、下回ると納税猶予が打ち切られます。特例措置では要件が弾力化され、下回っても理由の報告書を都道府県知事に出し確認を受ければ猶予が続きます。
ひっかけに注意特例措置は8割を下回っても、未達の理由を報告し知事の確認を受ければ猶予を継続できる。
出典:国税庁タックスアンサー No.4148 非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例等(法人版事業承継税制)、非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和7年5月・令和7年7月更新、国税庁)抄録
申告期限後の事業継続期間5年間
納税猶予を受けた後継者は、その後5年間、会社の代表者であること、取得した株式を持ち続けることなどの事業継続要件を満たす必要があります。満たさなくなると、猶予されていた税額と利子税を納めます。
ひっかけに注意円滑化法の認定は都道府県知事、申告と担保の提供は税務署に対して行う。
出典:非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除(法人版事業承継税制)のあらまし(令和7年5月・令和7年7月更新、国税庁)抄録
平成31年1月1日〜令和10年12月31日
個人事業者が土地・建物・機械などの事業用資産を後継者に贈与・相続したときの贈与税・相続税を100%猶予する制度です。個人事業承継計画を令和8年3月31日までに都道府県知事に提出し、この期間に承継する必要があります。
ひっかけに注意法人版の特例措置(令和9年12月31日まで)より1年長い。事業用の小規模宅地等の特例とは選択制。
従業員は常時使用する数資本金3億円以下又は300人以下
中小企業基本法の定義で、資本金(出資総額)か常時使用する従業員数のどちらか一方を満たせば中小企業者になります。卸売・サービス・小売以外の業種はすべてこの区分です。補助金や支援制度の対象かを判断するときの出発点になります。
ひっかけに注意「かつ」ではなく「又は」。個人事業主は資本金がなくても従業員基準で該当しうる。
出典:中小企業基本法
従業員は常時使用する数資本金1億円以下又は100人以下
卸売業は、資本金1億円以下か常時使用する従業員100人以下のどちらかに当てはまれば中小企業者です。業種ごとに基準が違うため、まず主たる事業の業種を確認してから数字を当てはめます。
ひっかけに注意サービス業も従業員は100人以下だが、資本金は5千万円以下。卸売業と資本金が違う。
出典:中小企業基本法
従業員は常時使用する数資本金5千万円以下又は100人以下
サービス業は、資本金5千万円以下か常時使用する従業員100人以下のどちらかで中小企業者になります。資本金は小売業と同じ、従業員数は卸売業と同じという組合せなので、取り違えやすい区分です。
ひっかけに注意小売業は資本金5千万円以下・50人以下。サービス業の従業員基準は100人以下。
出典:中小企業基本法
従業員は常時使用する数資本金5千万円以下又は50人以下
小売業は、資本金5千万円以下か常時使用する従業員50人以下のどちらかで中小企業者になります。4つの業種区分の中で従業員の基準がいちばん小さいのが小売業です。
ひっかけに注意小売業の従業員基準は50人(100人ではない)。
出典:中小企業基本法
おおむね常時使用する従業員20人以下(商業・サービス業5人以下)
小規模企業者は中小企業者のうち特に規模の小さい事業者で、資本金の基準はなく従業員数だけで判断します。補助金で補助率が上がるなど優遇の条件になります。補助金の公募要領では、サービス業のうち宿泊業・娯楽業を20人以下として扱います。
ひっかけに注意小規模企業者に資本金基準はない。商業とは卸売業・小売業のこと。
業種を問わず(おおむね)5人以下
小規模企業振興基本法は、小規模企業者のうち、おおむね常時使用する従業員が5人以下の事業者を「小企業者」として定義し、より小さな事業者への配慮を求めています。業種にかかわらず同じ基準です。
ひっかけに注意商業・サービス業に限らない。小規模企業者(製造業等20人以下)と区別する。
出典:小規模企業振興基本法
資本金は3億円以下(又は)900人以下
経営承継円滑化法などの支援法では、一部の業種について政令で中小企業者の範囲を広げています。ゴム製品製造業(自動車・航空機用タイヤ等を除く)は従業員900人以下まで中小企業者として扱われ、補助金の公募要領も同じ特例を置いています。
ひっかけに注意中小企業基本法第2条第1項に直接書かれた基準ではなく、各支援法の政令による拡大。
出典:中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行令、事業承継・M&A補助金(14次公募)公募要領 専門家活用枠(抄録:p5-21, p64-66)
資本金5千万円以下又は200人以下
旅館業はサービス業ですが、政令で従業員の基準が100人から200人に広げられています。なお、ソフトウェア業・情報処理サービス業は資本金3億円以下又は300人以下とされ、製造業と同じ水準です。
ひっかけに注意旅館業の資本金は5千万円以下のまま、従業員だけ200人以下に拡大。
出典:中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行令、事業承継・M&A補助金(14次公募)公募要領 専門家活用枠(抄録:p5-21, p64-66)
補助金の公募要領2分の1以上
規模基準を満たしても、大企業に実質的に支配されている中小企業は「みなし大企業」として補助金の対象外になります。同一の大企業が発行済株式の2分の1以上を持つ場合や、大企業の役職員を兼ねる人が役員の2分の1以上を占める場合が該当します。
ひっかけに注意複数の大企業の合計で判定する基準は3分の2以上。2分の1は「同一の」大企業1社の基準。
補助金の公募要領3分の2以上
1社ごとには2分の1未満でも、複数の大企業の保有を合計して発行済株式の3分の2以上になれば、みなし大企業として補助金の対象外になります。例えば大企業A社40%・B社30%なら合計70%で該当します。
ひっかけに注意合計の基準は「2分の1以上」ではなく「3分の2以上」。各社2分の1未満で合計60%なら、この基準には当たらない。
おおむね5年ごと
小規模企業振興基本法にもとづき、政府は小規模企業の振興施策を計画的に進めるための基本計画を定め、情勢の変化や施策の効果を踏まえておおむね5年ごとに見直します。策定時には中小企業政策審議会の意見を聴き、国会に報告します。
ひっかけに注意「おおむね10年ごと」は誤り。
出典:小規模企業振興基本法
2018年以降は低下傾向52.7%
後継者が決まっていない企業の割合で、帝国データバンクのデータを中小企業白書が加工したものです。下がってきてはいるものの、なお半数以上の中小企業に後継者がいないことを示し、M&Aによる第三者承継が必要とされる背景の数字です。
ひっかけに注意帝国データバンク独自調査の2025年値「50.1%」と出典・時点が異なる。
前年比2.0pt低下・7年連続改善50.1%
全国・全業種の約27万社を調べた2025年調査で、後継者がいない・未定の企業は13.8万社でした。最も高かった2017年から16.4ポイント下がっていますが、まだ約半数で後継者が決まっていないことを示します。
ひっかけに注意大企業を含む全企業の数字。中小企業白書の「52.7%(2024年)」と混同しない。
大企業24.9%・中小企業51.2%57.3%
中小企業基本法の区分で見ると、規模が小さいほど後継者不在率が高く、2023年調査からの改善幅も小規模企業が最も小さい(2.9pt)結果でした。小さな会社ほど承継対策が進んでいないことを示す数字です。
ひっかけに注意規模が「大きい」ほど高いのではない。最も高いのは小規模企業。
2025年版中小企業白書50〜54歳→65〜69歳
経営者の年齢で最も多い層が、2000年の50〜54歳から2015年には65〜69歳へ移り、高齢化が進みました。2020年以降は60〜74歳の層に分散し、75歳以上の割合は2023年も上昇しています。60歳以上の経営者が過半数を占める状況です。
ひっかけに注意2015年のピークは「60〜64歳」ではなく「65〜69歳」。
2015年は46.5%66.6%
休業や廃業、解散をした企業の代表者のうち70代以上が占める割合で、後継者がいないまま高齢となり、やむを得ず廃業する例が増えていることを示します。2025年版中小企業白書(帝国データバンク調査)の数字です。
ひっかけに注意黒字の割合「51.1%(2024年)」と数字を入れ替えない。
2016年以降一貫して過半数51.1%
休廃業・解散した企業の過半数が黒字だったという数字で、後継者さえいれば続けられた企業が失われていることを示します。黒字のうちに第三者へ引き継ぐM&Aの意義を説明するときに使われます。
ひっかけに注意割合は減少傾向だが、なお過半数。赤字企業が大半という選択肢は誤り。
出典:事業承継支援マニュアル(令和7年度版、令和7年11月 中小企業基盤整備機構)抄録、事業承継支援マニュアル(令和7年度版、令和7年11月 中小企業基盤整備機構)抄録
9割以上→4割以下
かつては9割以上の中小企業が親族に事業を引き継いでいましたが、現在はその割合が4割以下に下がっています。「親族が家業を継ぐ」ことが当たり前でなくなり、従業員承継やM&Aによる第三者への引継ぎが増えていることを示します。
ひっかけに注意親族内承継が「増えている」とする選択肢は誤り。
うち約半数の約127万人が後継者未定約245万人
中小M&Aガイドライン初版の「はじめに」が示した見込みです。後継者未定のまま何もしなければ廃業となり、雇用やサプライチェーン、地域経済に悪影響が出るおそれがあるとして、中小M&Aを後押しする理由として挙げられています。
ひっかけに注意平均引退年齢は「65歳」ではなく「70歳」。245万人と127万人を入れ替えない。
同族承継32.3%・M&Aほか20.6%36.1%
帝国データバンクの2025年調査で、代表者が交代した企業のうち血縁のない役員・社員が就いた内部昇格が、これまで最多だった同族承継を速報値で上回りました。事業承継の「脱ファミリー化」が進んでいることを示します。
ひっかけに注意2024年実績では同族承継35.7%が最多。M&Aほかは2024年19.2%で、4年ぶりに前年を下回った。
相手先従業員等の理解が得られるか32.4%
M&Aを行う際の心配事として最も多いのが、相手先の従業員などの理解を得られるかで、次いで期待する効果が得られるか(30.8%)でした。成立後の統合作業(PMI)で従業員への説明や信頼関係づくりが重視される理由を示す数字です。
ひっかけに注意1位は「期待する効果」ではなく「相手先従業員等の理解」。複数回答の数字。
うちM&A専門業者(仲介・FA)約1,200者約3,400者
登録制度には金融機関や士業なども登録しており、その中心が仲介・FAを行うM&A専門業者です。M&A専門業者が増える中で支援の質や手数料のわかりにくさが課題となり、ガイドラインの改訂や登録制度のあり方の再検討につながっています。
ひっかけに注意中心は金融機関ではなくM&A専門業者。運用開始は2021年8月で第3版公表時ではない。
2022年度4,036件から増加4,940件
登録機関がFA・仲介契約を結び、最終契約に至った中小M&Aの件数です。この集計での中小M&Aは、資本金1億円以下の法人か個人事業主が当事者となるものをいいます。譲受側の報告は4,708件で、年々増えています。
ひっかけに注意この集計の中小M&Aの定義は「資本金1億円以下」で、中小企業基本法の業種別基準とは違う。
譲渡側:仲介4,024件・FA916件仲介約8割・FA約2割
報告された中小M&Aの多くは、売り手と買い手の双方と契約する仲介者の支援で成立しています。仲介は双方の意向をまとめて円滑な成立を重視する場合、FAは自社に最も有利な条件を重視する場合に向くとされます。
ひっかけに注意FAが多数派ではない。仲介とFAの割合を逆にしない。
2023年度32件・2025年度80件(2月現在)126件
登録した仲介者・FAの支援をめぐるトラブル情報を受け付ける窓口への情報提供数です。第3版改訂後、重要事項説明が行われるなど改善も見られますが、深刻なトラブルにつながりやすい営業以外の事案は減っていないとされています。
ひっかけに注意窓口は紛争解決や助言のための窓口ではない。改訂後に営業以外の事案が大きく減ったわけではない。
出典:第4回 中小M&A市場の改革に向けた検討会 資料2(2026/3/17) p.21、中小M&Aガイドライン(第3版)本文 p.76
純資産5百万円超〜1千万円以下(2026年3月資料)30.0%
登録制度の集計を中小企業庁が2026年3月に分析したもので、譲渡側の純資産(時価)が小さい区分ほど、最低手数料が適用されるため手数料率(報酬÷譲渡価額)が高くなります。最も大きい5億円超の区分では4.3%です。
ひっかけに注意規模が大きいほど高いのではない。小さな案件では東京大都市圏の方が他の地域より低い。
令和6年度実績(中小機構資料)約7割
センターは民間の仲介者が扱いにくい小さな案件も支援しており、成約した譲渡企業の約7割が小規模事業者です。センターの相談件数は127,000件超とされ、規模の小さい事業者の公的な相談先としての役割を示す数字です。
ひっかけに注意センターへの相談は無料だが、センターから紹介された民間支援機関の支援は有償。
該当する項目が見つかりませんでした。
別の言葉で探すか、科目の絞り込みを「すべて」にしてください。
制度・税率は令和8年3月末(試験の基準日)時点です。統計は項目に記載の時点の数値です。「例」は契約書サンプルなどに示された一例で、実際の契約では当事者が決めます。