まず、明日止まる仕事を洗い出す
突然の入院などで連絡が取りにくくなったとき、誰が給与を払い、受注を判断し、顧客へ説明するでしょうか。社長しか使えない承認手続きや、社長の携帯電話にしか残っていない情報を探します。
「会社全体のマニュアルをつくる」と構えるより、今週・今月に期限が来る支払いと重要な判断を確認します。締切、担当、代理者、必要な権限、資料の場所を一つずつ対応させます。
代理でできることと、正式な手続きが必要なこと
業務の担当者を決めても、代表権や銀行取引の権限まで自動的に得られるわけではありません。会社の機関設計、定款、金融機関の手続き、契約条件に応じて、不在時に取れる対応を確認します。
取引銀行には法人の支払い権限や承認者の追加方法を、会社の役員・専門家には代表者の選定などの必要な手順を相談します。社長個人の口座と法人の口座を混同せず、それぞれの利用条件を整理します。
制度・手続きの確認先
秘密情報を広めず、必要な人が到達できるようにする
印鑑、契約書、保険、株主情報、主要取引先の連絡先などについて、保管場所と管理者の一覧をつくります。ただし、パスワードを誰でも読める紙や共有フォルダにまとめる方法は避けます。
適切な権限管理や承認手順のもとで、必要な人が必要なときにアクセスできるようにします。資料の存在を知っていることと、閲覧・送金・契約ができることは別です。緊急時の確認先も含めて整備します。
- 給与・仕入れ・返済を担当する人と承認方法
- 受注・納期・品質の緊急判断と顧客窓口
- 重要書類の所在と、アクセス権限の管理者
- 金融機関・士業・保険等の連絡先
株式への備えと、経営への備えを分ける
遺言や信託は財産や株式に関する備えとして検討するもので、日々の代表者業務をすべて代理する仕組みではありません。誰が株主として権利を行使するかと、誰が経営判断や契約を行うかの両方が必要です。
後継候補が若い場合や未定の場合は、一時的に経営を支える体制も考えます。会社の状態と家族の希望を踏まえ、手段を一つに決めつけず、法務と税務の専門家に確認します。
一か月の不在を想定して、机上で試す
社長に質問できない前提で、給与支払い、主要顧客からの納期変更、設備故障という場面を一つずつ追ってみます。担当者が資料に到達できるか、判断者が分かるか、承認を得られるかを確認します。
分からなかった箇所を直し、人事異動、銀行口座、契約の変更時に更新します。これは将来の緊急時だけでなく、経営者が安心して出張や休暇を取ること、後継者へ仕事を渡すことにもつながります。
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